ホームを増やすと遅れや混雑が緩和されるワケ 「痛勤」解消の妙手となるか

列車の増発を阻む「混雑と遅れのループ」

 1時間に27本の列車を運行すると、その間隔は2分15秒弱。途中で数分の遅れが発生すれば、列車が1本消えてしまうギリギリのダイヤです。少しでも遅れが発生すると実際に運転できる列車が減ってしまい、これでは増発する意味がありません。

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ホームがひとつしかない東急田園都市線の渋谷駅(2018年2月、恵 知仁撮影)。

 2分15秒は同じ速度で動き続けていれば十分な間隔ですが、列車は駅の到着時に減速して数十秒の停車をするため、実際には前後の列車とかなり接近します。ラッシュ時間帯や駅到着前に「信号待ち」と称して一時停車するのは、先行列車との距離が近くなりすぎたために起こる現象です。

 しかし、利用者の多い駅では乗り降りが30秒程度では終わりません。できる限り長く停車させたいところですが、停車時間を長くとると後ろの列車がどんどん近づいてきて、渋滞が発生してしまいます。

 停車時間を短く設定し、無理に早くドアを閉めようとしても、乗り切れずに発車が遅れます。次の駅では列車の到着が遅れた分だけ、ホーム上に乗客が増えていきます。列車は混み合い、停車時間はさらに長くなり、遅れが増してしまうのです。

 このようなボトルネックとなる駅が存在すると、いくら運行本数を増やしたところで、ダイヤ通りに走れず、輸送力を増やすことができなくなるのです。つまり、混雑緩和は遅延対策と裏表の関係にあるわけです。

 ホーム増設は、こうしたボトルネックの解決策として行われます。

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コメント

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2件のコメント

  1. 田園都市線は本来、島式2面4線化が必須なのにそれをしなかったのが悪い。
    ここが島式2面4線になっていればラッシュ時は当然、日中も折り返し列車の設定が出来たから尚更だ。
    又、半蔵門線内で緩急接続も当然、用意だったので速達性も上がった。

  2. 屈指の混雑路線でありながら、ホームの増設も車両の増結もできない南武線はどうすれば・・・。