ホームを増やすと遅れや混雑が緩和されるワケ 「痛勤」解消の妙手となるか

増設ホームを活用する「交互発着」とは

 駅のホームがひとつしかない場合、先の列車が発車しないと後続列車はホームに入ることができません。そこでホームをふたつにすれば、先行列車が停車中でも後続車両はホームに入れるようになります。

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地下駅の改良工事では建物の基礎や別の路線のトンネルなどを避けながら工事を行わなければならない。写真は千代田線のトンネルと交差する東京メトロ副都心線の工事現場(2006年12月、草町義和撮影)。

 後続列車が先行列車に追いついてしまうと、先を急ぐ人が乗り換えようとして余計に混乱してしまうので、実際は後続列車が到着する前に先行列車は駅を発車しますが、後続列車に影響を与えず停車時間を確保することが可能になるわけです。

 このように、ホームの両側に列車が交互に到着、発車することを「交互発着」と言います。

 交互発着を最大限活用している路線がJR東日本の中央線(快速)です。朝ラッシュ時間帯の中央線は田園都市線や東西線より3本も多い1時間30本、2分間隔の運行を実現していますが、これを支えているのが国立、国分寺、武蔵小金井、東小金井、三鷹、中野、新宿の7駅で行われる交互発着です。

 JRは中央線以外でも、乗り降りが多くホームに余裕があるターミナル駅で交互発着を行い、ラッシュ時間帯の遅延を防いでいます。検討中とされる田園都市線は渋谷駅、工事中の東西線は南砂町駅と、それぞれ1駅だけではありますが、それでもかなりの遅延抑制効果が見込まれています。

 田園都市線の渋谷駅と東西線の南砂町駅の場合、最大のネックはどちらも地下トンネル内にホームと線路があること。営業運転を行いながら、その脇でトンネルの幅を広げる工事を行って、ホームを増やすためのスペースを確保しなければなりません。

 南砂町駅の改良工事は周辺に用地が確保できたため何とか着工できましたが、それでも長期にわたる工事となっています。周辺にビルの基礎や、ほかの路線の地下トンネルが密集している渋谷駅となれば、その困難さは南砂町駅の比ではありません。

 地下トンネルの拡幅は物理的に可能なのか、費用や工期、地上への影響を考慮して現実的なのか、あるいはほかの方法で解決することはできないのかなど、東急もさまざまなケースを比較しながら、最終的な検討を行っているものと思われます。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. 田園都市線は本来、島式2面4線化が必須なのにそれをしなかったのが悪い。
    ここが島式2面4線になっていればラッシュ時は当然、日中も折り返し列車の設定が出来たから尚更だ。
    又、半蔵門線内で緩急接続も当然、用意だったので速達性も上がった。

  2. 屈指の混雑路線でありながら、ホームの増設も車両の増結もできない南武線はどうすれば・・・。