賛否両論あった空自戦闘機部隊のモットー「見敵必殺」 掲げる言葉に見える特色、ほかにも

「平和が職業」掲げる部隊は…?

 なかには面白いモットーもあります。陸上自衛隊において最も厳しい課程のひとつとして知られる、レンジャー養成教育で叩き込まれる「レンジャー五訓」などは、

一.飯は食うものと思うな
二.道は歩くものと思うな
三.夜は寝るものと思うな
四.休みはあるものと思うな
五.教官・助教は神様と思え

という、ちょっと驚くような内容となっています。

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山口駐屯地第17普通科連隊の、レンジャー教育における山地潜入訓練の様子(画像:陸上自衛隊)。

 また、RF-4E/RF-4EJ偵察機を運用する百里基地(茨城県)の偵察航空隊 第501飛行隊は「見敵必撮」という、今回、新聞記事になった「見敵必殺」をもじったモットーを掲げています。滑稽でありつつも味のある、いかにも偵察機部隊らしい傑作であると言えるのではないでしょうか。

 筆者(関 賢太郎:航空軍事評論家)の独断で選ぶ最も印象的なモットーは、冷戦時代のアメリカ空軍に存在した、戦略航空軍団(SAC)が掲げた「Peace is Our Profession(平和が我々の職業)」です。

 戦略航空軍団のおもな任務は、核兵器を搭載した戦略爆撃機や大陸間弾道ミサイルの運用でした。すなわち彼らが力を発揮する時とは、「世界終末時計」の秒針が最後の0秒を指した瞬間であり、現代文明崩壊を意味しました。核兵器はあくまで抑止力でありそれを使ってはならない。それをしないことが職業であるというモットーを、あえて彼らは掲げていたのです。

【了】

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Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)

1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。

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コメント

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2件のコメント

  1. (These Things We Do,)That Others May Live,
    他者を生かすために、ではないですか?
    誰かが生きている限り、だと自己犠牲を示すモットーにはきこえませんよ

    • Mayを推量の「かもしれない」で訳してるんでしょうね。違います。
      ここでは、目的・結果を表す「するために、できるように」の意味です。よりexplicitにSo that others may liveと書かれることもありますよ。