ボーイング最新給油機KC-46A初納入 原型は767…どんな飛行機? 日本と浅からぬ縁あり

原型機「767」がもたらした「変革」とは?

 KC-46Aの原型機である「767」は、民間機としても様々な点で航空の世界に変革をもたらした航空機と言えます。

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2016年の国際航空宇宙展に出展されたKC-46Aのブーム(給油パイプ)操作装置のシミュレーター(竹内 修撮影)。

 そのひとつは、乗務員のコスト面です。767以前のほとんどの旅客機は、機長と副操縦士のほかに、多数の計器やシステムを監視する「航空機関士」を必要としていました。これに対して767は、多数のアナログ計器を、合計6基のディスプレイに表示する「グラスコクピット」と、エンジンや油圧システム、電気システムなどをコンピューターが監視して、問題が発生した際にはパイロットによる問題箇所の発見をサポートする「EICAS(エンジン計器・乗員警告システム)」の採用により、航空機関士を不要としました。

 航空機の操縦は、基本的に機種ごとに操縦資格が必要とされますが、ボーイングは767と、同時期に開発された旅客機「757」をできる限り共通化。その結果、767または757の操縦資格を持つパイロットは、両機の相違点についての地上講習を受ければ、両方の操縦が認められました。経費のかかる飛行訓練が不要であることは、大幅な経費削減にもつながりなり、先述の航空機関士が不要なこととあわせ、767あるいは757を導入した多くの航空会社は、人件費の大幅な削減に成功したと言われています。

 ほか、双発機への認識を大きく変えたことも挙げられるでしょう。エンジン2基の双発機は、1基が飛行中に停止した場合、一定時間内に空港へ緊急着陸することが可能な航空路でのみ飛行が許可されています。

 767が登場した1980年代前半まで、FAA(アメリカ連邦航空局)とEASA(欧州航空安全機関)は、洋上を飛行する双発機が緊急時に1基のエンジンのみで飛行できる時間を60分以内に設定しており、このため双発機の長距離路線への就航は困難でした。しかし機体、エンジン共に信頼性の高い767の登場により、FAAとEASAは1基のエンジンのみで洋上を飛行できる時間を段階的に緩和し、最終的に767の1基のエンジンで飛行できる時間は3時間まで延長されています。

 767の登場まで、洋上を長時間飛行する国際路線には、燃料消費量が多くそのぶん運用コストも高い、DC-10をはじめとするエンジン3基の「三発機」や、747のようなエンジン4基の「四発機」が投入されていました。そうしたなか、767が洋上飛行制限に大幅緩和の道をひらいたことにより、現在では多くの長距離路線が、三発機や四発機より運用コストが安い、双発機によって運航されるようになっています。

【写真】KC-46Aの先進的コックピット

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