唯一無二、核兵器も扱う原子力空母「シャルル・ド・ゴール」でフランスは何を目指す?
「太平洋国家」であるフランス
フランスは、ヨーロッパに位置する国家であると同時に、インド太平洋地域にも多くの領土を持っていて、こうした海外領土などのおかげで、世界でも有数の広大な排他的経済水域(EEZ。漁獲や資源開発に関して沿岸国が排他的な権利を有する海域)を保持しています。つまり、フランスは日本と同じく「太平洋国家」ともいえます。
そのため、インド太平洋地域で発生する問題は他人ごとではなく、南シナ海における中国の活動や北朝鮮情勢は、フランスにとっても大きな関心事です。そこで、フランスは「シャルル・ド・ゴール」のインド洋派遣や海上自衛隊との共同訓練を通じて、同地域でのプレゼンスを示し、情勢に関与することを目指そうとしているのです。
2019年2月現在、「シャルル・ド・ゴール」がインド洋を越えて日本に寄港するかどうかは明らかにされていませんが、もし寄港するという話になれば、そこにはある難関が立ちはだかります。日本の「非核三原則」です。
核兵器を「持たず、作らず、持ち込ませず」という有名なフレーズで知られ、1968(昭和43)年以来、日本政府が踏襲してきた「非核三原則」は、読んで字のごとく日本国内への核兵器の持ち込みを禁止しています。つまり、もし「シャルル・ド・ゴール」が先述したASMP-Aを搭載した状態で展開するようであれば、日本への寄港は認められないことになります。
しかし、たとえば「シャルル・ド・ゴール」自体は日本の領海外に停泊するとしても、その艦載機が在日米軍基地などに展開することなどが考えられるほか、そもそもフランス側がASMP-Aの搭載を否定したうえで日本に寄港する可能性もあります。
近年、朝鮮半島情勢や中国の動向をめぐり、インド太平洋地域における日本の存在感は日増しに増大していますが、今回の「シャルル・ド・ゴール」と海上自衛隊との共同訓練は、まさにその証左といえるでしょう。
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