都営大江戸線の車両、なぜ狭い? 「普通サイズ」で計画されるも、小型化したワケ

いまではメリットがデメリットに?

 需要増が望めないのであれば、建設費を削減するしか方法はありません。そこで、建設費の7割を占める土木工事費を削減するアイデアとして登場したのが、従来のトンネルより断面積を半分にした「小型地下鉄」構想でした。

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大江戸線は、車両に搭載した電磁石とレール間のリアクションプレートを反応させて走る「リニア地下鉄」(乗りものニュース編集部撮影)。

 小型の車両を使い、トンネルの内径を従来の約6.2mから約4.3mまで縮小すると、断面積は半分になります。こうすることで、建設費を2割削減できるという試算が出たのです。

 大江戸線は小型地下鉄計画として再検討され、他線と相互直通運転しない路線であり独自規格を採用しても問題ないとの判断から、1986(昭和61)年に光が丘~練馬間の建設に着手されました。

 大江戸線は車両に搭載した電磁石とレール間のリアクションプレートを反応させて走る「リニア地下鉄」ですが、光が丘~練馬間の着工時はまだリニア地下鉄の開発が完了していなかったため、通常のモーター駆動でも対応できる設計になっていました。

 リニア地下鉄は車両の高さを低くできるほか、推進を車輪の回転に頼らないため急勾配、急カーブを走行できるので、通常の鉄道では設定できないような、地下空間を縫うように進むルート設計が可能で、建設費の削減効果が一層大きくなります。1988(昭和63)年、大阪市営地下鉄(現・大阪メトロ)の長堀鶴見緑地線に続いて大江戸線へのリニア地下鉄採用が決定すると、続く練馬~新宿間と環状部のトンネル設計はリニア地下鉄に最適化した形状に変更されています。

 紆余曲折を経て実現した大江戸線ですが、建設がバブル経済期に重なり、工期が予定よりも伸びたことで、最終的な建設費は環状部だけで約1兆円、通常の地下鉄と大差ない1km300億円以上に膨らんでしまいました。また輸送力が小さいため、一部区間の混雑が激化するなど、小型地下鉄のメリットが隠れ、デメリットが目立つ皮肉な結果となっています。しかし、それもこれも小型地下鉄の採用によって、一時は絶望視されていた大江戸線が実現したからこその悩みだということを忘れてはなりません。

【了】

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コメント

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7件のコメント

  1. 都営大江戸線は車体が小さい割には深さは一番深く、地上から地下7階まで歩いて5分ぐらいはかかり、高齢者には息切れがしそうです。よって高齢者には、エレベーターかエスカレーターをおすすめします。

  2. 大江戸線の小ささは、ロンドンの地下鉄のようで、ちょっとほっこりします。 駅がかなり地下深くにあるので(六本木駅!)たどり着くまで時間がかかるのは、逆に近未来的な感じ。 個性的で、自分は好きです。

  3. 大江戸線は使えないからよっぽどの事が無い限りルートから除外している。
    環状線じゃないのも使えない原因だし、税金の無題使いの見本ですね。

  4. 混雑する時間帯は、座席をなくして欲しい。

  5. 確かに1kmあたりの建設費は結果的に他の地下鉄とほとんど変わらなくなったのは事実ではある。
    しかし、もしミニ地下鉄を採用せずフル規格地下鉄で建設していたら、他の地下鉄より3割高い1kmあたり400億円とかいう値になりかねなかったのでは?
    そう考えると、極力税金を少なく抑えるという意味では大江戸線のミニ地下鉄の導入は間違いではなかったと思う。

  6. コロナ禍により半年通勤利用していませんが、朝夕の通勤ラッシュ時のストレスは半端ないです。
    ただでさせ狭い車両に加え、低い天井は圧迫感がとても強いです。
    座席の幅も狭く、肩幅の広い私は身をすくめないといけないくらいです。(実測したことはありませんが、体感的に銀座線よりも狭く感じる)身体の大きな外国人の方は辛そうに耐えてる姿を見ることもあります。
    出張の時は更に悲惨で、スーツケースの行き場が無く、周りから舌打ちされることもしばしばです。
    小型化による恩恵は、少なくとも利用者にとっては全く感じません。この程度のこともわからない無知な記事を書く筆者はそもそも乗ったことがないのでは?ライター辞めたほうがいいですよ。

  7. リニア地下鉄≠小さな地下鉄