「バレンタイン」と呼ばれる戦車 英がソに押しつけ?チョコならぬ余り物バレンタイン

「バレンタイン」といえば、ミリタリー的にはイギリス製戦車が挙がります。そもそも、バレンタインデーが名前の由来という説も。WW2期のこの戦車をイギリスは、作りすぎた義理チョコのようにソ連へ押し付けています。しかも有料でした。

作りすぎたバレンタイン歩兵戦車 せっかくなのでソ連に輸出

 バレンタイン歩兵戦車は、第2次世界大戦においてイギリス軍がドイツ軍にヨーロッパで追い詰められ、ダンケルクから命からがら撤退してきた直後の戦車不足の時代に、急ピッチで作られたものです。生産性が高い構造だったようで、すぐに量産体制ができ上がり、カナダでも生産されていました。

 しかしそののち、徐々にアメリカからアメリカ製戦車が手に入るようになると、バレンタイン歩兵戦車は余剰が目立ってくるようになります。そこで、イギリスはこの余った同戦車を、イラン経由でソビエト連邦へ輸出(レンドリース)することにします。

 これだけだと、ソ連にいらない物を押し付けたような話になりますが、決してそうではありません。ちゃんと役に立ちました。

Large 20200214 01
コーカサス地方はバクーなど原油や天然ガス、鉄鉱石などの資源が豊かな地域。スターリングラードは現在のヴォルゴグラード(国土地理院の地図を加工)。

 1942(昭和17)年6月から、ドイツ軍がカスピ海周辺の油田を狙ってコーカサス方面を攻めた際は、同地においてソ連守備部隊が運用する戦車の40%以上が、バレンタイン歩兵戦車やアメリカ製の戦車でした。T-34などのソ連戦車はスターリングラード方面に展開していたためです。特にバレンタイン歩兵戦車は、ソ連戦車と同じくディーゼルエンジン採用車だったため運用しやすく、戦争が終わるまで主力の補助や偵察任務などに使用されたようです。

 バレンタイン歩兵戦車はバリエーションを全て含めると、7000両以上が生産されています。これは、第2次世界大戦期におけるイギリス軍戦車としては最多の生産量です。不遇な扱いを受けることもあったものの、アメリカでいえばシャーマン中戦車、ソ連ではT-34にあたるのが同戦車だったわけです。

 ちなみに、バレンタインデーにチョコを贈る風習のルーツは、イギリスともいわれています。ソ連に渡したバレンタイン歩兵戦車がチョコ(茶)色だったかどうかは定かではありませんが、ともあれ「余ってた」というわりに有料だったそうです。

【了】

【写真】「バレンタイン」の前任は「マチルダ」 イギリスの歩兵戦車

Writer:

ミリタリー、芸能、グルメ、自動車、歴史、映画、テレビ、健康ネタなどなど、女性向けコスメ以外は基本やるなんでも屋ライター。一応、得意分野はホビー、アニメ、ゲームなどのサブカルネタ。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 「USB挿しっぱ」でクルマが“故障”する? 三菱公式の投稿にSNS騒然 「一体ナゼ?」「これマジで起きるよ」
  2. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  3. 海自潜水艦 アメリカ海軍の“歴戦の揚陸艦”を標的に魚雷発射! 実弾演習で巨大な水柱があがる瞬間を公開
  4. バス運転士「辞めないで」 東京都が“給与の手当”を10年間補助! 独自の定着支援で「路線廃止」を防ぐ
  5. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開