「夜間戦闘機」はなぜ「夜間」なのか? 日中の活動は苦手な「夜行性飛行機」

現代の飛行機は昼夜を問わず空を飛び交っていますが、かつては夜間に特化したものも存在しました。その代表的なものが第2次世界大戦中に搭乗した「夜間戦闘機」でしょう。通常の戦闘機とはやはり、ひと味違う特徴がありました。

レーダーの小型高性能化が夜間戦闘機に引導を渡した

 当初は、既存の複座戦闘機や、中型爆撃機を流用して夜間戦闘機が作られていましたが、第2次世界大戦の半ばには、戦訓を反映して最初から夜間戦闘機として開発された専用機が登場するようになりました。たとえばドイツではHe219が、そしてなかでも代表的なものとして、アメリカのP-61「ブラックウィドウ」が挙げられます。

Large 20200215 01
アメリカ陸軍が最初から夜間戦闘機として設計開発したP-61「ブラックウィドウ」。1942年5月に初飛行し、1944年から実戦運用された(画像:アメリカ陸軍)。

 P-61は、「バトルオブブリテン」を戦訓に、アメリカがドイツ空軍の夜間爆撃に対抗できる高性能な夜間戦闘機を求めて開発した機体で、最初からレーダー搭載を前提に設計されていました。乗員は3名で、空冷星形エンジン2発、全長15m以上で重量は約10tと鈍重なため、格闘性能は単発単座機にかないませんでしたが、火力は強力で、機体上部中央に12.7mm重機関銃4門搭載の全周旋回銃座を装備し、機体前方下部には20mm機関砲を4門装備していました。

 このように世界的に夜間爆撃が多用された第2次世界大戦で、夜間戦闘機は多数開発され、確固たる1ジャンルを開拓すると、ジェット戦闘機が本格的に普及した第2次世界大戦後もしばらくのあいだ、夜間戦闘機の開発は続きました。

 しかし、レーダーの小型自動化が進み、単座のジェット戦闘機にも搭載できるようになると、夜間戦闘機の必要性がなくなります。単座のジェット戦闘機が、レーダー搭載によって昼夜問わず、さらに悪天候化でも戦闘可能な能力を手に入れたことで、昼間や夜間といった区分で戦闘機を使い分ける必要がなくなったため、「夜間戦闘機」というジャンルそのものが消滅しました。

 その後、「全天候戦闘機」という呼び方も登場しましたが、現代ではレーダー非装備の戦闘機そのものがごく少数になっており、その呼び方すら聞くことは少なくなりつつあります。

【了】

【写真】1人乗りを2人乗りに改造「双胴の悪魔」P-38の夜戦型

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

最新記事

コメント

記事ランキング

  1. 航行中の護衛艦「かが」の周辺に「巨大な海洋生物」が出現! 艦艇勤務ならではの光景を海自公式が公開
  2. 「知らなかった!」SNSで話題に 高速道路の“2つ並んだ赤い三角コーン”、実は超重要な「ある合図」だった! NEXCO公式が投稿
  3. 「断固たる措置を講じる」首都高公式ブチギレ! 「公平性を著しく損なう」非常識ドライバーに“鉄槌”…一体何が?
  4. 神奈川県警の“バイクは自転車レーン走るな”投稿にツッコミ殺到! 「自転車にも車にもバイクにも迷惑です」…何が問題に?
  5. 史上最大の軍艦より135mもデカい!? 旧海軍「大和」を凌ぐ『エースコンバット8』の新ボス「陸上戦艦」の衝撃スペックとは
  1. 家族が「SSSS航空券」を引き当ててしまった…! 乗る前から“異変” 保安検査員も「Oh…」 誰でも起こり得る“緊迫の一部始終”
  2. あと1年足らずで「現金でバス乗れなくなります」 全路線“完全キャッシュレス化”疑問に応えるサイト開設 京王バス
  3. ETCの手前で「ガシャン!」高速入口に吊るされた「黄色い鎖」の正体は? 傷つく覚悟で“あえてぶつける”超アナログな理由
  4. ロシア軍の爆撃機が「真っ逆さまに墜落」 地上に激突する瞬間を捉えた映像が公開 “巨大な黒煙”が立ち上る
  5. “まるで高速”な無料バイパス「全線4車線化」へ変貌開始! 一部の上下線分離まもなく 対面通行を解消 国道8号