ロケット弾100連射の戦闘機があった アメリカの迎撃機F-89D「スコーピオン」の能力

「下手な鉄砲数撃ちゃ当たる」を、アメリカ空軍は戦闘機に搭載したロケット弾でやろうとしました。1機に搭載した、その数なんと100発以上。ミサイル実用化前夜に登場したF-89D「スコーピオン」、実際の戦闘ではどうだったのでしょうか。

F-89D「スコーピオン」の大量ミサイル 実際には…? ロサンゼルス郊外での実弾射撃

 なお、F-89D「スコーピオン」はアメリカ国内で作戦投入されています。それは1956(昭和31)年夏に起きた「パームデールの戦い」です。

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翼端の大型ポッドから空対空ロケット弾を斉射するF-89D「スコーピオン」戦闘機(画像:アメリカ空軍)。

 8月16日の午前11時34分、アメリカ西海岸カリフォルニア州にあるポイントマグー海軍航空基地から訓練のために飛び立ったF6F-5K無人標的機が、コントロールを失い、ロサンゼルスの方へ向かい始めました。

 市街地に墜落すれば大惨事になるため、F6F-5Kの撃墜が検討されます。しかしこの海軍基地には当時、戦闘機部隊が配備されていなかったため、近郊のオックスナード空軍基地に戦闘機の緊急発進を要請します。

 こうして、当時オックスナード空軍基地に配置されていたF-89D戦闘機2機が出撃しました。2機はアフターバーナーを使ってロサンゼルス北東約9km地点でF-6F-5Kに追いつくと、制御を失ってロサンゼルスの郊外を飛び回る同機をひたすら追尾しました。

 その間、4回にわけてロケット弾の射撃を行いましたが、208発全弾命中せず、完全に撃墜に失敗してしまいます。しかもアフターバーナーを使ったことで燃料不足に陥り、2機のF-89Dは基地に戻ることを余儀なくされました。

 最終的にF6F-5Kドローンは、ロサンゼルスから北東約60kmにあるパームデール郊外の砂漠地帯に墜落しましたが、このドローンの墜落とF-89Dが放ったロケット弾によって、ロサンゼルスの北側で山火事や複数の建物火災が起きました。

 死者こそ出ませんでしたが、山火事は2日間続き、約400ヘクタールを焼失したそうです。実戦ではありませんが、撃墜できなかった代償は大きかったといえるでしょう。

【了】

【写真】F-89Dがスクランブル 「パームデールの戦い」のターゲット

Writer:

子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。

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コメント

2件のコメント

  1. 主武装が空対空ロケットになりす。

    …?