昭和の鉄道旅を支えた「列車用冷水器と紙コップ」の秘密 新幹線や寝台特急などに搭載

新幹線や寝台特急など、かつてデッキ周辺に冷水器を設置していた列車がありました。ボタンを押すと冷たい飲料水が出るというシンプルな機械でしたが、そこには列車ならではの工夫が。いまはペットボトル飲料などの普及で、ほとんど見られません。

列車用冷水器 揺れや電圧の変動といった環境でも高性能を発揮

 水が供給される仕組みは、どの機種もだいたい同じです。新幹線用の「WR14A」の場合、車両の床下に設置されたタンクから吸い上げられた水は、紫外線を照射する殺菌灯とろ過装置からなる殺菌装置を通過して、予冷用熱交換器(プレクーラ)を経て冷却タンクに送られます。

 冷却タンクは5リットルの容量があり(在来線用の「WR61」は2リットル)、冷凍庫と同じ仕組みで冷却されます。乗客がボタンを押すと水が流れますが、コップに注がれず受け皿に落ちた水はプレクーラの排水管に入って、これから冷却タンクに向かう水をパイプ越しに予冷した後に排水されました。どの冷水器も、水が凍結しないよう自動温度調節器を備えていました。

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寝台特急「富士・はやぶさ」に最後まで装備されていた「WR61」型冷水器(2006年11月、栗原 景撮影)。

 走行する列車で常時稼働する冷水器には、街なかで使用される冷水器よりも高い性能が求められました。

 まず、供給電源が安定しない環境下でもきちんと動くよう、±15%の電圧変動に対応できる高性能なインバーターが装備されています。電動機などを支えるバネ類は、列車の思わぬ揺れによって機器類がぶつかって故障しないよう、強さがひとつひとつ細かく調整されました。

 また、狭いデッキに設置されるため、吸気口や排気口が塞がれないよう設計されています。特に東海道新幹線用の「WR14A」は、新幹線専用として車両と一体的に設計され、当時としては画期的にスマートな冷水器として登場しました。

 こうした冷水器とセットで設置されていたのが、封筒型の紙コップです。上部が波を打つような曲線を描く独特の紙コップは、東京都大田区にある丸ノ内紙工という企業が製造、供給していました。

【写真】懐かしい寝台特急「富士・はやぶさ」の冷水器

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