高性能ゆえの「とんがった車両」5選 高速 軽量 乗り心地を追求 設計思想に影響も

未来の鉄道車両を見越し設計思想を変えたJR東日本209系

 JR東日本の209系は、これまでの車両のつくりをいちから見直して、製造や整備の方法を全面的に改めた、新しい設計思想のもとに造られました。

 外板や固定窓を限界まで薄くし、乗り心地をある程度に留めた軽量化、製造後13年をめどに廃車か改造かを決定するという「寿命」の概念、さらには廃車した際も徹底的にリサイクルが可能なように製造段階で考慮するなど、これまでの鉄道車両とはまったく異なる思想で製造されています。

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「新世代車両」の名にふさわしく鉄道車両のあり方を1から見直し、現代の鉄道車両のスタンダードを確立した209系(2006年10月、児山 計撮影)。

 同時に209系は、将来の鉄道車両のあるべき姿を模索するためにさまざまな新機軸が導入されました。なかには固定窓のように、通勤輸送の実情と合わないために後継車両では採用されなかったものもありますが、軽量化した車体や、メンテナンスの手間が極力かからない機器類などのように、徹底的に「未来の鉄道車両」を模索したデザインは、間違いなく「とんがった」車両といってもよいでしょう。

 現在の首都圏を走る通勤形車両の多くは、209系で試みられたシステムを多かれ少なかれ採用しています。209系の設計思想は目論見どおり、次世代通勤形車両のスタンダードに昇華しました。

 209系のように、一見普通の通勤形車両に見えて実は「とんがった」車両であるケースも少なくありません。普段利用している車両も、調べてみると意外な「とんがった」ところが見つかるかもしれません。

【了】

【写真】けっこう傾く「振り子式」 試作車「TSE」

Writer: 児山 計(鉄道ライター)

出版社勤務を経てフリーのライター、編集者に。教育・ゲーム・趣味などの執筆を経て、現在は鉄道・模型・玩具系の記事を中心に執筆。鉄道は車両のメカニズムと座席が興味の中心。座席に座る前に巻尺を当てて寸法をとるのが習慣。言うなれば「メカ&座席鉄」。

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