観光列車のみならず 「社の思い」が表れた鉄道車両選 デザインや性能 ひいては伝統に

伝統となったカラーリング 阪急や東海道新幹線

 鉄道ファンならずともよく知られた伝統といえば、阪急電鉄の車両が挙げられます。艶のあるマルーンカラーの電車に乗り込むと、木目模様の壁とアンゴラ山羊の毛で作られたゴールデンオリーブの座席が目に飛び込んできます。

 このデザインは、100年近く続いた阪急電鉄の伝統ともいえるもので、もはやひとつのブランドとしての地位を築いています。過去に車体の塗装を一新する計画もありましたが、いずれも実現に至っていないことからも、この「阪急デザイン」が多くの人に愛されていることがわかります。

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マルーンカラーにアルミの窓枠というフォーマットは、1960(昭和35)年の2000系や2300系から続く伝統(2007年8月、児山 計撮影)。

 JR東海の東海道新幹線も、会社の思いが徹底して車両に表れています。新幹線のなかでもっとも長い歴史を持つ東海道新幹線は、ほかの新幹線に比べてカーブがきつく、スピードを出しにくい箇所がある一方で世界有数の高需要路線でもあるため、高速運転をし、列車本数を増やす必要があります。

 そのため、徹底的なトータルでの性能と輸送力重視で車両をデザイン。座席数は300系車両から16両で1323席とされ、ダイヤが乱れた際に車両の融通がしやすいよう配慮されました。カーブの多い区間でも高速運転ができるよう、車体傾斜システムの導入や加速性能、ブレーキ性能の強化など、性能面で工夫が凝らされています。

 一方で車両の塗装はかねてから、ホワイトボディに青のライン。他社の新幹線車両がカラフルなだけにそのカラーリングは一層際立ちます。この車体色は、JR東海の須田寛会長のポリシーであり、特に青色は色調を変えることも許されないそうです。

【写真】創立100周年でガラッと印象を変えた車両

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