地下鉄はなぜ公営ばかり? 民営との事業展開の違いや整備上のメリット デメリット

公営と民営 事業展開の仕方の違い

 政府や都、市は、なぜ民間企業へ任せずに、自ら地下鉄建設を進めたのでしょう。最大の要因は、地下鉄整備に多額の費用がかかるからです。

 当時の鉄道ビジネスは、郊外に鉄道を建設してから沿線を開発し、土地の売却益なども含めて利益を上げるというものでした。しかし地下鉄建設は建物が密集した都市部で地下を掘り下げ、鉄筋コンクリートのトンネルを構築するという大規模な工事が必要になる反面、自社で沿線開発は容易ではありません。

 つまり地下鉄事業とは、費用ばかりがかさみ、得られる利益は限られている、割に合わない商売なのです。東京メトロや大阪メトロが民営化し、利益を上げているのは、初期に建設した路線の費用を払い終わり、利益だけが得られているからです。

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神戸市営地下鉄の2000形電車(草町義和撮影)。

 鉄道事業は多額の初期投資を必要とします。民営鉄道は株主からの出資や、金融機関からの借り入れによって調達した資金で鉄道を建設し、鉄道が生み出した利益で利息分を含めた借金を返済し、株主に配当を出していきます。建設費に対して利益が少なすぎたり、利息が高すぎたりすると事業が成り立ちません。

 ところが国や自治体が運営する公営鉄道は、公的な信用力を背景に多額の資金を借り入れたり、自ら債権を発行して資金調達したりできるため、民営では成り立たない路線でも整備が可能になるのです。

 その結果、短期的な利益に左右されず、長期的な計画に基づいた地下鉄整備が可能になります。

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