孤軍奮闘した空母「飛龍」のミッドウェー 却下された意見具申は命運を変え得たか?

もしすぐに艦爆隊が発進していたら…?

 他方、艦戦(艦上戦闘機)はこの時、艦隊直掩(艦隊の上空で敵機に備え護衛すること)のため全機出払っていました。よって、山口司令官が意見具申した時点で編成できる有効なアメリカ空母への攻撃隊は、陸用爆弾装備の護衛無し九九式艦爆36機のみという事になります。

 史実では、3空母が被弾したのち、「飛龍」から艦戦6機と艦爆18機で空母「ヨークタウン」を攻撃し3発の命中弾を与えますが致命傷とはならず、艦戦3機と艦爆13機が失われました。そのあと艦戦6機と雷装の艦攻10機で2本の魚雷を命中させたことが「ヨークタウン」の致命傷となっています。この時は艦戦3機と艦攻5機が撃墜されています。とどめを刺したのは潜水艦「伊一六八」の雷撃でした。

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反撃に転じた「飛龍」を発った艦攻の魚雷が「ヨークタウン」に命中した瞬間。救援に駆け付けた重巡「ペンサコーラ」から撮影(画像:アメリカ海軍)。

 艦爆のみ36機で攻撃した場合どうなるでしょうか。艦戦の護衛無しというハンデもあり、史実の損耗率からも、機数が2倍だからといって2倍の戦果はとても期待できそうにありません。またアメリカ空母を発見した「利根四号機」が、航法の間違いから敵位置も誤って報告しており、艦爆隊は敵空母を補足できなかった可能性さえあります。史実で「飛龍」の艦爆隊が「ヨークタウン」にたどり着いたのは、帰艦する敵機を発見して追尾できたという偶然の部分もあるのです。

 映画などでは、2回にわたる兵装転換は大混乱だったように描かれますが、ミッドウェー海戦に先立つ1942年4月5日に、第一航空艦隊がインド洋セイロン島でコロンボ空襲を実施した際にも、対地攻撃準備中に敵艦隊発見の報を受けて2回にわたる兵装転換を行っており、必ずしも異常な事態とはいえませんでした。

【写真】ミッドウェーの空を飛び交った日米両軍の航空機

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コメント

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4件のコメント

  1. 文中に、物理的に敵空母が存在しないとか断言してるけど、フツーにインド洋にも太平洋にもいるし、なんならパナマ運河を通って大西洋からも空母が来てます。
    事実をねじ曲げて自国を貶めるとか、非国民がすることだろ。

  2. 物理的に空母が存在しない、というのは、
    ハワイ空襲~ミッドウェー海戦までの間、一、二航戦は一回も対空母戦をしていない、
    ということを言っているのでは。

  3. 航空機や搭乗員の被害は大きいにしても転装しないで飛ばしていたら
    空母がどうなっていたかの問題でしょ、誘爆しない可能性が高いから
    戦果が無いにしても空母が4隻もやられたかやられないかの分析を。

  4. 空母「鳳翔」の九六式艦攻から撮影された沈没直前の飛龍の写真ですか。大変貴重なものですね。