近郊形に通勤形…? 首都圏を走るJRの鉄道車両 形式では一概に括れない変遷の歴史
近郊形だが増えるロングシート 通勤形との区別があいまいに
しかし1980年代後半になると、東海道線や高崎線、常磐線などの混雑は都市規模の拡大とともに激しくなり、近郊形の車両では積み残しが発生するほどの混雑となります。そこで少しでも収容力を高めるため、1985(昭和60)年に登場した211系は、ロングシートのみの車両を組み込み始めます。
211系の場合、東海道線では15両中5両、高崎線では15両中10両をロングシートとしましたが、それでも間に合わず、JR化後はクロスシート車両の製造を中止し、ロングシート車両のみを製造するようになりました。
さらに1997(平成9)年、横須賀・総武快速線に投入されたE217系は、近郊形であるにもかかわらず、乗降時間を短縮するため片側4ドアの車両として登場。ボックスシートはグリーン車を除いた13両中3両、残り10両はすべてロングシートとなり、車内設備に限れば通勤形との区別がつかなくなりました。
E217系の投入で横須賀・総武快速線のラッシュ輸送が改善されたことから、JR東日本は首都圏に残る近郊形の車両をすべて4ドア車両に置き換えることとし、東海道線、高崎・宇都宮線にはE231系の「近郊タイプ」を投入します。
JRは必ず「宇都宮線・高崎線」や「宇都宮・高崎線」の順で案内しているので、それに合わせるべきです。
E217系が登場した時の『鉄道ファン』誌に解説記事が出ていたが、
4扉近郊型車両は国鉄時代から構想があって、
ロングシート⇔クロスシート転換機構(実車試験は行われた)や、
歯車比変換機構付き台車が構想されていたとか。
'60年代末と'80年代初めに構想が持ち上がったものの、
いずれも立ち消えになった模様。