渋谷~六本木間 地下鉄なし なぜ鉄道空白地帯なのか 街の成り立ちから見るその理由

渋谷から六本木まで鉄道で移動しようとすると、最低でも1回は乗り換えなければなりません。直線距離で3km弱と近く、路線バスが走っていますが、なぜ地下鉄が通っていないのでしょうか。街の成り立ちからその理由を探ります。

鉄道で乗り換えなしには移動できない渋谷~六本木間

 近くなのに、電車で行こうとすると乗り換えなどで意外と時間がかかる盛り場同士、といった区間が東京にはいくつかあります。

 その代表例が渋谷と六本木ではないでしょうか。渋谷駅と六本木駅とは、六本木通りで一直線、約2.7kmしか離れていません。道が空いていれば、タクシーを使い5分程度で行けてしまいます。路線バスも運行されています。しかし、都心を移動するときのいつもの習性で、この区間でも地下鉄を利用する人が多いように思われます。

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六本木駅の出入口と六本木ヒルズ(2020年7月、内田宗治撮影)。

 JR山手線と東京メトロ日比谷線を利用する場合は、山手線でひと駅、日比谷線でふた駅移動することになります。鉄道会社が異なるので、運賃は310円(きっぷ、以下同様)もかかります。

 東京メトロ銀座線・半蔵門線と都営大江戸線を利用し、青山一丁目駅で乗り換えても行けますが、4駅分(半蔵門線利用なら3駅分)の乗車となり、運賃は280円かかります。しかも大江戸線の六本木駅ホームは地表からの深さがなんと日本一、約42mもあります。電車を降りてから地上出口までの時間を計ってみたら、エスカレーターで5分かかりました。

 ちなみに渋谷駅から銀座線の赤坂見附駅、丸ノ内線の霞ケ関駅、日比谷線の六本木駅と乗り換えれば、すべて東京メトロの路線なので、運賃は200円で済みます。ただし所要時間は約25分です。

 なぜ渋谷~六本木間には、両地点をダイレクトに結ぶ鉄道が通ってないのでしょうか。

 かつて山手線の内側や下町には、都電の路線網が発達していました。渋谷から六本木ヘは、1967(昭和42)年に廃止されるまで、都電6系統(新橋行き)を利用し乗り換えずに行けました。宮益坂を上って青山通り、骨董通りを経るもので、少し北に寄り道するルートです。

【地図】都心域にありながら、確かに鉄道空白地帯

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