災害派遣に「オスプレイ」は使えるの? 「お値段以上」になるかもしれない使い方とは?

航続距離が長いから小笠原諸島へもひとっ飛び

 また前述した航続距離の長さも、離島の多い日本にとっては有用です。

 たとえば、2010(平成22)年10月に起きた奄美大島の豪雨災害や、2013(平成25)年10月に起きた伊豆大島の台風災害などでは、離島で起きた大規模災害のため、初動の救援部隊は本土から空路で被災地入りしています。

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木更津駐屯地の滑走路に着陸進入する陸上自衛隊のV-22「オスプレイ」(2020年7月、武若雅哉撮影)。

 奄美大島や伊豆大島は本土からヘリコプターが飛べる距離にあり、なおかつ空港も整備されているため、天候が回復したのちは大型の固定翼機も輸送支援にあたりました。しかし、日本のすべての島々がそのような状態であるとは限りません。

 空港のない離島というと、東京都の小笠原諸島があげられます。東京から南に約1000km離れた太平洋上に位置し、空路で結ばれていないため、島に行くためには約24時間かかる船便しかありません。空港がなく、なおかつヘリコプターの航続距離ではカバーできない離島のため、急患輸送などは海上自衛隊のUS-2飛行艇が神奈川県厚木基地から向かう形をとっています。

 US-2は飛行艇のため海上に離着水しますが、波が高ければ降りることはできません。V-22「オスプレイ」ならば、往復で約2000km以上を飛ぶことが可能で、なおかつ陸地に降りることができます。

 実際、2014(平成26)年7月、当時の小野寺防衛大臣が父島にある海上自衛隊基地を視察した際には、アメリカ海兵隊のV-22「オスプレイ」が用いられました。

【写真】「オスプレイ」の機内 操縦席は飛行機と一緒?

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コメント

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7件のコメント

  1. 回転するブレードの下には、ダウンウォッシュという台風並の風が吹き下ろしています。
    洋上や山間部では、重量の重いオスプレイを支えるためのダウンウォッシュは、要救助者を沈める・吹き飛ばすことになるでしょう。

    小笠原の急患輸送のような陸地間輸送であれば実効性は高いと思います。しかし、乗り物が好きなのであれば、'ホバリングもできる'と、'ホバリングに適している'の違いをもう少し調べられた方がいいかもしれません。

  2. V-22「オスプレイ」は、本来の目的は、離島奪還作戦の軍事用です。
    災害救助目的には、ヘリコプターよりも真下に吹き付ける風が強く、適さないと思います。
    せいぜい、離島の空港が無い島から、傷病者の輸送には使えるくらいでしょうか。

  3. お値段以上、オスプレイ

  4. 確かにオスプレイは使い方次第では有用ですが、皆さん書かれている通り強力なダウンウォッシュがありますので、記事内で言うと御嶽山の場合は火山灰の巻き上げと、それがエンジン吸気されてエンジン壊れることが想定されますし、海上救助はダウンウォッシュに加えて、高温のエンジン排気が下方に流れますので、ホバリング救助はやらない(やれない)と思われます。災害派遣の際に、着陸した広場の芝生が焼けた焦げた案件ありましたよね。なので小笠原の緊急搬送はオスプレイに変わるかもしれませんが、海上救助は今後もUS-2が必須という持論です。

  5. 小笠原の急患輸送はUS-2の出動件数の7割を占める。
    US-2はエンジン4基の大型機で、燃料消費量はもちろん、運用に要する人手も費用も大きい。
    オスプレイで代替し、US-2を減らせば良い。

  6. 与圧のないオスプレイと、先代US-1からの進化で与圧を求められて対応したUS-2。
    与圧の有る無しで飛行ルート選択も大きく広がったことを考えると、オスプレイに小笠原諸島からの傷病者輸送任務を求めるのは荷が重いのではないか。

  7. 与圧機でなければ急患搬送はできないということはありません。
    小笠原の急患搬送でも夜間は父島/母島から硫黄島までの270km余りを非与圧の海上自衛隊のヘリコプターSH-60で運んでいます。
    また沖縄では離島からの急患搬送を非与圧の陸上自衛隊のヘリコプターCH-47で行なっています。