災害派遣に「オスプレイ」は使えるの? 「お値段以上」になるかもしれない使い方とは?
太平洋上の遭難者も着水せずに救出できるかも
さらにV-22「オスプレイ」は、ヘリコプターと同じくホバリングが可能なため、陸地から遠く離れた太平洋上での遭難者救出にも適しています。
海上自衛隊のUS-1飛行艇や後継のUS-2飛行艇は、日本本土から1100km以上離れた洋上で墜落したアメリカ軍パイロットや、ヨットで遭難した民間人などを救出していますが、それらはパイロットが天候や波の高さなどを見極めて離着水しています。
同じような事案に対し、V-22「オスプレイ」であれば、ホバリング状態で対応にあたることができ、飛行艇が持つ離着水時の危険性をはらむことなく、また離着水に要する時間をかけずに一刻も早く人命救助を始めることが可能です。
このように、V-22「オスプレイ」は、山岳地帯から離島、さらには遠く離れた洋上まで様々なシーンで人命救助にあたれる性能を兼ね備えているといえるでしょう。
しかし、仮にV-22「オスプレイ」が小笠原諸島や洋上での災害救援に有用性を見出すと、前述したUS-2飛行艇の必要性に疑問符を与える可能性も否定できません。その意味では、V-22「オスプレイ」は日本の飛行艇開発になんらかの影響を与える存在ともいえなくもないのです。
【了】
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
回転するブレードの下には、ダウンウォッシュという台風並の風が吹き下ろしています。
洋上や山間部では、重量の重いオスプレイを支えるためのダウンウォッシュは、要救助者を沈める・吹き飛ばすことになるでしょう。
小笠原の急患輸送のような陸地間輸送であれば実効性は高いと思います。しかし、乗り物が好きなのであれば、'ホバリングもできる'と、'ホバリングに適している'の違いをもう少し調べられた方がいいかもしれません。
V-22「オスプレイ」は、本来の目的は、離島奪還作戦の軍事用です。
災害救助目的には、ヘリコプターよりも真下に吹き付ける風が強く、適さないと思います。
せいぜい、離島の空港が無い島から、傷病者の輸送には使えるくらいでしょうか。
お値段以上、オスプレイ
確かにオスプレイは使い方次第では有用ですが、皆さん書かれている通り強力なダウンウォッシュがありますので、記事内で言うと御嶽山の場合は火山灰の巻き上げと、それがエンジン吸気されてエンジン壊れることが想定されますし、海上救助はダウンウォッシュに加えて、高温のエンジン排気が下方に流れますので、ホバリング救助はやらない(やれない)と思われます。災害派遣の際に、着陸した広場の芝生が焼けた焦げた案件ありましたよね。なので小笠原の緊急搬送はオスプレイに変わるかもしれませんが、海上救助は今後もUS-2が必須という持論です。
小笠原の急患輸送はUS-2の出動件数の7割を占める。
US-2はエンジン4基の大型機で、燃料消費量はもちろん、運用に要する人手も費用も大きい。
オスプレイで代替し、US-2を減らせば良い。
与圧のないオスプレイと、先代US-1からの進化で与圧を求められて対応したUS-2。
与圧の有る無しで飛行ルート選択も大きく広がったことを考えると、オスプレイに小笠原諸島からの傷病者輸送任務を求めるのは荷が重いのではないか。
与圧機でなければ急患搬送はできないということはありません。
小笠原の急患搬送でも夜間は父島/母島から硫黄島までの270km余りを非与圧の海上自衛隊のヘリコプターSH-60で運んでいます。
また沖縄では離島からの急患搬送を非与圧の陸上自衛隊のヘリコプターCH-47で行なっています。