転々と場所を変えた京王線の始発駅「新宿」 その歴史をたどる 悲願の繁華街到達も…

京王線の始発駅である新宿は今、JR線の西側の地下にあります。しかし現在の地に落ち着くまで、駅は改称と移転を繰り返しました。当時の新宿の中心を目指して延伸するも、戦災が暗い影を落とします。

戦争の影響で西側へ かつての始発駅は地下鉄駅のそばに?

 京王線は同ビルの裏側から出て府立六中(現・都立新宿高校)の前を通り、甲州街道の新宿駅南口陸橋で山手線などを越えて調布方面へと向かっていました。

 現在、同地を訪れても当時の痕跡を残すものはありません。京王ビルがあった地は、京王新宿三丁目ビル(追分だんご本舗新宿本店が入るビルの隣、1階がスターバックス)となり、隣(かつての新宿追分駅前)に京王新宿追分ビルが建つことなどが、当時の記憶を今に伝える手がかりです。

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写真中央の黒っぽいビルが「京王新宿三丁目ビル」。かつて新宿追分(後に四谷新宿)駅ビルだった地に建っている(2020年7月、内田宗治撮影)。

 京王線が現在のようにJR新宿駅の西側に移転したのは、太平洋戦争の影響でした。『京王帝都電鉄30年史』によれば、米軍機の空襲で近くの天神橋変電所が被災して電圧低下がはなはだしく、新宿駅南口陸橋の坂を電車が上るのに支障をきたしたためです。駅の移設工事は陸軍工兵隊により短期間で行われ、1945(昭和20)年7月24日に移設開業しています。この時、京王線に初めて「新宿」という名前の駅が誕生しました。

 当初は地上駅でしたが、1963(昭和38)年に地下化されました。1978(昭和53)年には京王新線の新宿駅も開業、1980(昭和55)年には都営新宿線と相互乗り入れを開始します。都営新宿線の新宿三丁目駅は、かつての京王電気軌道始発駅のすぐ近くに立地し、何か因縁めいたことも感じさせてくれます。

【了】

【地図】京王線の新宿駅 転々とした場所とは

Writer:

フリーライター。地形散歩ライター。実業之日本社で旅行ガイドシリーズの編集長などを経てフリーに。散歩、鉄道、インバウンド、自然災害などのテーマで主に執筆。著書に『関東大震災と鉄道』(ちくま文庫)、『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)』ほか多数。

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コメント

1件のコメント

  1. 「四谷にも近いということをアピールしたかったようで」

    違いますよ。そこが旧東京市四谷区だったからです。近いのではなく、四谷そのもの。

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