「命を大切にする特攻兵器」が一度も成功しなかったワケ アメリカ的無人誘導爆弾の顛末
飛行機の遠隔操縦が飛躍的な発展を遂げたのは第2次世界大戦においてです。なかでもアメリカは4発エンジンの戦略爆撃機を転用した無人機を実用化。しかし実戦ではすべて失敗に終わりました。
「百発百中」を追求し、大型爆撃機を改造
SF映画の名作のひとつとして知られる『2001年宇宙の旅』。冒頭のオープニングで、原人(人類)が道具として初めて手にした骨。彼はやがてその骨を空に投げ上げます……。
映画ではこの骨を空に投げるのを、人類が初めて「飛び道具」を用いるようになった瞬間として描いていますが、それ以来、人間は飛び道具の「百発百中」を夢見て様々な“技術”を生み出します。その結果、2020年現在、完全に百発百中というわけではありませんが、命中精度がきわめて高い「飛び道具」として誘導ミサイルや誘導爆弾を用いるまでに至っています。
誘導兵器の雛型が生まれたのは、今から70年以上前の第2次世界大戦の頃です。しかし、当時は試行錯誤の状態であり、なかには有人飛行機を改造して無人誘導爆弾に仕立てるようなことも行われました。
そのようななか、なんとアメリカでは贅沢に「空の要塞」と形容されたB-17大型爆撃機の無人爆弾仕様が作られています。これは、誘導装置を積みやすいから単に大型機を選んだというわけではなさそうです。
そもそも爆弾を搭載した航空機を誘導して目標に突っ込ませるというのは、単に命中確率が高まるだけでなく、搭載している爆弾の爆発力に加えて、突っ込んだ航空機の慣性の法則によって生じる破壊力と、残っている燃料から生じる火災という点も加味されるので、アメリカとしても大型機転用の誘導爆弾の開発は「兵器」として魅力的だったようです。
ただし当時、科学先進国であったアメリカの技術力をもってしても、気象条件などに合わせて飛行機をうまく離陸させ、搭載されている爆弾の安全装置を解除するというような込み入った作業を遠隔操作で行えるようにするのは難しかったようです。
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