「やられたらやりかえす!」強すぎソ連戦車に倍返ししたドイツの間に合わせ兵器とは

「タイガー」「キングタイガー」「パンター」など名だたる戦車をいくつも開発したドイツは、戦車大国のイメージが強いかもしれませんが、第2次大戦では強力なソ連戦車に悩まされたことも。それを救ったのは急ごしらえの対戦車車両でした。

チェコ製戦車+ソ連製野砲=ドイツ軍最強対戦車自走砲

 7.62cm砲PaK36(r)は、牽引式対戦車砲としても使用されましたが、ドイツ軍は本砲を自走車台と組み合わせ、対戦車自走砲もいくつか開発しています。

 冒頭に記したように、ドイツはチェコを併合した際、同国のLTvz.38を38(t)戦車として用いました。独ソ戦において同戦車は、T-34中戦車やKV重戦車に歯が立たなかったため、徐々に戦場から引き揚げられますが、砲塔を撤去し、そこに開放式(オープントップ)の戦闘室を設けて7.62cm砲PaK36(r)を搭載することで、火力の面でT-34中戦車やKV重戦車に対抗できるように仕立て直されます。

 こうして対戦車自走砲に生まれ変わった同車には、新たに「マルダーIII」という名称が与えられました。なお「マルダー」とは、ドイツ語で動物の「貂:テン」という意味です。

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北アフリカの戦いで撃破されたドイツの「マルダーIII」対戦車自走砲。同車はソ連から遠く離れたアフリカの砂漠地帯でも使用されている(画像:オーストラリア戦争記念館)。

「マルダーIII」は、防御力はともかく、火力に関しては見事、T-34中戦車やKV重戦車を葬るだけの能力を獲得していたため、334両(異説あり)が生産されたといいます。

 このように、チェコ製車体にソ連製の砲を組み合わせた、ドイツ生まれでもなんでもない戦闘車両が、一時はドイツ軍における対ソ連戦車の頼みの綱になっていたのは皮肉といえるのかもしれません。

 しかし冒頭に記したように、ドイツは第2次世界大戦の開戦前から戦争終結まで常に戦車不足に悩まされ続けていました。そう考えると、「マルダーIII」のような戦闘車両こそ「世界に冠たるドイツ装甲部隊」の実態を端的に示す「代名詞的存在」といえなくもないでしょう。

【了】

【写真】ドイツ最強の対戦車砲「マルダーIII」のベース チェコ製38(t)戦車

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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コメント

3件のコメント

  1. 最近では実用性能では自動車の冷間のハイテン成形プレス技術でGPa越えが相次いで報告されていますね。翻って考えてみるとやはり、プロテリアル

    (旧日立金属)製のマルテンサイト鋼の頂点に君臨する高性能冷間ダイス鋼(特殊鋼)SLD-MAGICの登場がその突破口になった感じがしますね。今で

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    奏した話は業界で特に名古屋では有名ですからね。軸受、歯車、圧延ロール、減速機、摺動機械部品の基本的な摩擦係数にかかわるはなしがこうだか

    らCAE技術もさらなる可能性に満ち溢れているということでしょうね。タコツボ組織化しがちなトライボロジー研究でボールオンディスクを横串力と

    するCCSCモデルという提案も素晴らしいものでした。

  2. 日立Lumadaの開発者でもあるのか?

  3. これが世にいうドクターDXのアルゴリズム革命ですね。

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