名機か珍機かP-39「エアラコブラ」 造った国と貰った国で評価が真逆 日本じゃ「かつお節」

第2次世界大戦中、ソ連はアメリカやイギリスから様々な兵器を供与してもらっていましたが、そのなかには米英両国が持て余したものも含まれていました。しかし、ソ連が使ったことで名機に昇華した機体もあったのです。

「かつお節」転じて「小さなコブラちゃん」へ脱皮

 ではなぜ、太平洋戦域における戦いではやられっぱなしだった「エアラコブラ」が、東部戦線では多数のエースを輩出する名機となったのでしょうか。その理由は、空戦のメイン高度にあります。

 太平洋戦域では中低高度で空戦が多発した一方、東部戦線のソ連パイロットたちは、低高度にこだわって空戦を行いました。というのも、彼らは低高度で来襲するドイツの爆撃機や対地攻撃機を阻止すべく飛び、そこへドイツ戦闘機が襲いかかってくるため空戦をする、というパターンが多かったからです。

 実は、メッサーシュミットBf109やフォッケウルフFw190といったドイツ戦闘機は、中高度以上の空域で、一撃離脱のいわゆる「ヒット・アンド・アウェイ」式の空戦で戦うように設計された機体でした。そのため、零戦のように空気密度が高い低高度域で「ドッグファイト」(近接格闘戦)を行うようにはあまり考えられていなかったのです。逆にP-39「エアラコブラ」は、前述したように低高度向けに造られた戦闘機だったため、あまりに優秀過ぎるドッグファイターの零戦にこそかないませんでしたが、自らの得意な高度で有利に戦うことができたのでした。

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P-39「エアラコブラ」の夜間射撃シーン(画像:アメリカ陸軍)。

 このように、戦う高度と戦闘の仕方が違ったことで、P-39「エアラコブラ」は駄作機から見事、傑作機にイメチェンを図れたのです。ちなみに、ソ連パイロットたちは「コブルシュカ(意訳すると「小さな可愛いコブラちゃん」)」などと呼び、惚れ込んでいました。

 そのため、なんとP-39「エアラコブラ」の総生産機数9588機中、実に4719機(どちらの機数にも異説あり)がソ連に供与されたといいます。またソ連空軍では大戦後の1949(昭和24)年まで第一線部隊での運用を続けていたとも。これも、まさしく“傑作機”として認めていた証左なのかもしれません。

【了】

【写真】「かつお節」がズラーリ… P-39の生産ライン

Writer:

東京・御茶ノ水生まれ。陸・海・空すべての兵器や戦史を研究しており『PANZER』、『世界の艦船』、『ミリタリークラシックス』、『歴史群像』など軍事雑誌各誌の定期連載を持つほか著書多数。また各種軍事関連映画の公式プログラムへの執筆も数多く手掛ける。『第二次世界大戦映画DVDコレクション』総監修者。かつて観賞魚雑誌編集長や観賞魚専門学院校長も務め、その方面の著書も多数。

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