日高本線バス転換でどうなる? 全国「鉄道廃止→バス化」その後

バス転換で乗客倍増? 共通点は「停留所」「スピード」

 北海道のバス転換事例では、JR江差線 木古内~江差間(2014)や、JR夕張線(石勝線 新夕張~夕張間、2019)が、それぞれ鉄道より利用者数を伸ばしています。

 特に江差線の代替バスとして開業した函館バスの江差木古内線は、江差駅から1km以上離れていた市街地へ乗り入れを実現させたほか、沿線の高校や総合病院などへの往来需要に細かく合わせることで、開業翌年から利用者を倍増させました。また夕張線はもともと鉄道と道路がほぼ並行しており、夕鉄バスの路線と合わせた市内交通の再編で鉄道廃止区間の運転本数を1日5本から10本に倍増させ、乗客増加につなげています。

 これらバス路線の共通点は、停留所の大幅な増加や時刻設定のヒアリングなどを通じ、単なる「鉄道の代替」ではなく地元の利用者に思い切って振り向けたことにあるのではないでしょうか。他地域からの移動はハードルが上がったかもしれませんが、そもそも両地域とも大都市への移動手段として、別ルートの直通バス路線(函館バス函館江差線、夕鉄バス札幌急行線など)が鉄道の廃止前から定着しています。

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江差線の鉄道代替バス(宮武和多哉撮影)。

 また両地域とも廃止前からバス路線のあり方について議論を重ね、JR北海道から得た江差線9億、夕張線7.5億という転換交付金を、今後のバス路線の運営や乗客減少時の余剰金としてストックしています。特に「攻めの廃線」として早くから路線バス整備に重点を置いた夕張市では、停留所の新設やターミナルの整備だけでなく、古参車が多かった夕鉄バスの車両更新、あまりにも遠かった新夕張駅の乗り継ぎ整備などを矢継ぎ早に進めることができました。

【画像】鉄道存続区間と真っ向から競合? 日高本線代替バス

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コメント

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6件のコメント

  1. 旧国鉄士幌線で早期にバス転換された区間なんて代替バスはもう帯広~旭川の都市間急行バス「ノースライナー」の1往復のみなんだよねぇ…。

  2. 二元論以外には例えばどんな方法があるのでしょうか

    • やっぱり日本の方だけあって「先に二択のハコモノ決定ありき」なんでしょうか?
      やっぱり日本的なユーザー置き去り目線で「道具だけ適当に決めちゃえ」目線で掲示板に書き込んでるんですね?

      その「お座敷」というお名前にとても日本の伝統を感じますね。ジャパニーズ・ハコモノ思考、ビューティフル!

  3. 一応関係する地域から見ても、転換バスのダイヤはひどい。。
    所要時間の問題は代行バスでさんざん文句が出てたのにほぼ改善ないとか、路線図もどこが中心街かさっぱり分からないとか、自治体はこの5年間何やってたんだか?あと日高本線で残った苫小牧ー鵡川は実質死んだようなもんだし。
    でもこれも、鉄道なら鉄道、バスならバスで、どう使うか議論してこなかったからだろうね。首長同士の話し合いばっかりしかしてなくて、意見聞きだしたのが直前になってからというのもお粗末すぎて。

    そういう意味では、乗り物ニュースは二元論で「鉄道ガー!」「バスガー!」って道具の話ばっかりな読者層だろうし、よくこのサイトでこの記事載せたな・・・

  4. ラストの「鉄道かバスかの二元論でいいのか」って聞いて

    鉄道とバス(道具)だけ思い浮かべるか
    「鉄道とバス」というサービスを作る過程を思い浮かべるか

    で、人によって全然違う読み方になりそう
    オタ具合を図るバロメーター…いや何でもないw

  5. 鉄道もバスも「線と点」に人が集まらないと乗客は増えない。
    その線と点に人を集める方法から考えないと鉄道でもバスでも存続は難しい。