なぜ「常磐本線」ではないのか 延長約350km 「本線の風格」あってもそう呼ばれない理由
もう「本線」は使わない?
特急も貨物列車も走り、普通列車にグリーン車もある。そんな常磐線を常磐本線と呼んであげたい。「国有鉄道線路名称」を「JR線路名称」に改正し、常磐線を本線に格上げしても良さそうです。しかし、実は「本線」という呼び方そのものが失われつつあります。
JR四国は国鉄の分割民営化で発足したときに「本線」の呼称を止めました。予讃本線は「予讃線」に、土讃本線は「土讃線」に、高徳本線は「高徳線」に、徳島本線は「徳島線」になっています。その他のJR旅客会社も路線図では「○○本線」と表記していますが、旅客案内表示などでは「本線」と呼ばない事例が増えています。
JR北海道は日高本線の廃止について「日高線」と報道資料に記述しています。斜面崩壊で不通となっていた函館本線についての報道資料も「函館線」でした。報道各社もこれに合わせて「日高線」「函館線」と表記しています。
JR東日本などでは、すでに正式名称ではなく路線愛称で案内を行っています。東北本線の東京寄りの区間を「宇都宮線」と呼び、東海道貨物支線は「相鉄線直通」や「湘南新宿ライン」の列車が走ります。横須賀線も正式な区間は大船~久里浜間ですが、東京駅から「横須賀線」と案内されています。JR西日本も「JR京都線」「JR神戸線」などの路線愛称を使っています。
なお現在、正式な路線名称を記載した国土交通省鉄道局監修の公的資料『鉄道要覧』では、JR路線のすべてに「本線」は付きません。「○○本線」そのものが、路線愛称ともいえそうです。
あれ、それなら常磐線にも「常磐本線」という愛称を付けても良さそうですけど……ややこしいでしょうか。
【了】
Writer: 杉山淳一(鉄道ライター)
乗り鉄。書き鉄。ゲーム鉄。某出版社でゲーム雑誌の広告営業職を経て独立。PCカタログ制作、PC関連雑誌デスクを経験したのち、ネットメディアなどで鉄道関係のニュース、コラムを執筆。国内の鉄道路線踏破率は93パーセント。著書に『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。日本全国列車旅、達人のとっておき33選』(幻冬舎刊)など。
東北本線は宇都宮線という愛称が付く前から既に黒磯以南は東北線と案内されてましたね。
今でも駅構内やホームの番線看板に宇都宮線(東北線)と併記されています。
東海道本線の東海道線や中央本線の中央線、総武本線の総武線もですけど
その記述がなかったのが残念ですね。
JR九州も本線という呼び方を一時期やめてましたがいつの間にか復活しましたね
「はくつる」「ゆうづる」は共に上野から仙台・青森を結ぶ寝台特急だが、「はくつる」は宇都宮回り、「ゆうづる」は常磐線回りであった。
さらに根本的な原因を考えると、常磐線の建設目的はそもそも「東京から茨城・福島を抜けて仙台へ至る路線」として建設されたというよりは、「東京と常磐炭田を結ぶ路線」として建設されたことに行き当たる。つまり、開業時点では茨城県北部と福島県南部に広がる常磐炭田まで伸びれば良かったわけで、仙台まで至るような現在の規模の路線としては考えられていなかった。
路線としての成り立ちも、最初の開業区間は「小山~友部~水戸方面」だったので東北本線と路線を共有している部分が長かった。「田端(日暮里)~友部」は後に短絡用に作られた新線である。こうした目的と成り立ちが常磐線を支線たらしめているのだろう。
昔、東京から浅川まで行くのが中央線で
新宿から甲府の方へ行く電車が中央本線だと思っていた。