全車グリーン車 新時代の特急「サフィール踊り子」は他地域でも適用できるか

もし大阪~和倉温泉で「サフィール」走らせたらどんな列車に?

 ここからは、仮に大阪~和倉温泉間で「サフィール踊り子」のような特急を運行した場合のダイヤやサービスを考えてみます。

 大阪~和倉温泉間で運行するとすれば、1日1往復とし、大阪駅の発車は午前10時半ごろ、和倉温泉駅の到着は14時半ごろの到着が望ましいでしょう。復路は和倉温泉駅を15時半ごろに発車し、大阪駅着は19時半ごろになるでしょう。

 列車は7両編成ほどが良く、1両は食堂車として、北陸地方の海産物などを使用したメニューを提供してはどうでしょうか。幸いなことに、金沢~和倉温泉間では観光列車「花嫁のれん」が運行されていることから、このメニューをさらにグレードアップしてみればと筆者は考えます。

 残りの車両は、グリーン個室を2両、開放型のグリーン車を4両としてみます。グリーン個室は、洋風以外に和風も導入し、「乗車した時から、そこは高級温泉旅館」という気分を盛り上げる演出が必要でしょう。

 開放型グリーン車は、大阪~金沢間のビジネスマンや用務客などの利用も想定します。新幹線では敦賀駅での乗り換えを強いられますが、直通の特急列車でも所要時間ではさほど短縮効果は見込めません。それならば、ゆったりとグリーン車で旅行したいビジネスマンもいることでしょう。

 大阪~和倉温泉間に、「サフィール踊り子」のような定期特急列車を運行すれば、利用者のきめ細かいニーズへの対応、乗り換え解消の利便性の維持以外に、並行在来線を運営する第三セクター鉄道の活性化にも貢献すると思われます。新幹線の開業により、JRから切り離された並行在来線を運営する第三セクターは、稼ぎ頭の特急列車が無くなり、厳しい経営を強いられます。新しいタイプの特急が、その解決策のひとつになるのではと筆者は考えます。

【了】

【ボンネット特急】大阪~金沢間を結んでいた特急「雷鳥」

Writer: 堀内重人(運輸評論家)

運輸評論家として、執筆活動や講演活動、テレビ出演なども行う。主要著書に『寝台列車再生論』(戎光祥出版)、『地域の足を支えるコミュニティーバス・デマンド交通』(鹿島出版会)、『観光列車が旅を変えた』(交通新聞社)など多数。日本交通学会、公益事業学会、日本海運経済学会、交通権学会会員。

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コメント

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3件のコメント

  1. 関西圏ターゲットで関東圏と同じようなものは微妙だと思うけど。
    プレミアムなグリーン車はあってもいいけど、普通車でもハイグレードなものというほうが
    あの地域には好まれるのでは?
    近鉄の「ひのとり」でもそのような構成にして高評価ですし

  2. しまかぜが既にあるから関西圏で実現出来ないということは無いよ

  3. 非現実、ではなくて、非日常のほうが