パレットタウンも消滅へ お台場どうなる? 再開発&新地下鉄で挫折の歴史は報われるか

“四度目”の正直? アフター・コロナを見据えた再開発

 そうした中、新たな起爆剤として期待されたのが東京オリンピック・パラリンピックです。バレーボールの「有明アリーナ」、体操競技の「有明体操競技場」、自転車競技・スケートボードの「有明アーバンスポーツパーク」など、多くの競技会場が臨海副都心に設置され、都心と臨海部を結ぶ東京BRTも開業し、人々で賑わうはずでした。

 ところが新型コロナウイルスにより大会は無観客開催となり、三度、目論見は外れてしまいました。ただ、アフター・コロナを見据えた時、国際化、情報化の拠点の重要性が益々高まることは間違いありません。パレットタウンの営業終了と再開発が示すように、今後は臨海副都心を含む臨海エリアでオフィス、商業施設、住宅の整備が加速する予定です。

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東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、一部の交通を規制すべく臨海副都心の道路に設けられた「優先レーン」(ピンク色の実線)(2021年7月、恵 知仁撮影)。

 ちなみに、パレットタウンも当初は大江戸温泉物語と同様、事業用定期借地権設定契約により都から貸し出された土地で営業していましたが、2008(平成20)年に森ビルとトヨタ自動車に売却された経緯があります。

 両社はパレットタウン跡地にオフィスや商業施設、ホテルなどが入居する高層ビルを建設する計画でしたが、リーマンショックの影響で延期となりました。現時点では新たな開発計画は未定とのことですが、森ビルとトヨタが中心となって、新たな施設の整備が進められる予定です。

 ただ開発が本格化すると、人口増加に伴い現在のゆりかもめとりんかい線、東京BRTだけでは輸送力が不足するため、東京駅から銀座を経由して、りんかい線の国際展示場駅まで結ぶ臨海地下鉄構想も浮上しています。長期的な構想であり、すぐに事業化される見込みはありませんが、この路線が必要とされるほどに開発が進んだのなら、臨海副都心という壮大な計画はようやく成功したと言えるのかもしれません。

【了】

【東京駅発】地下鉄新線のルート図

Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

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1件のコメント

  1. そんな地下鉄ができたらTXに秋葉原から座って帰れなくなりますな