東京の災害時「歩いて帰りやすい鉄道沿線」とは? 街道に沿う・沿わないの歴史的違い

大通りの並行路線に共通点

 京王線は、新宿から駅数にして23番目(新線経由)の府中まで21.9km、甲州街道に並行しています。1913~1916(大正2~5)年、街道を往来する人々を主な乗客に想定してつくられたためです。新宿駅南口前を通るのが甲州街道なので、京王線の新宿~府中間に住む人が歩いて帰宅する場合、単純に甲州街道を西へ向かえばいいわけです。

 一方の小田急小田原線は、新宿から駅数にして15番目の狛江まで13.8km、線路に並行する大きな道はありません。1927(昭和2)年、郊外の住宅地(および小田原や箱根)と都心とを効率よく結ぶために開業した路線です。

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旧甲州街道を斜めに横切る京王線の東府中駅付近(2021年10月、内田宗治撮影)。

 線路のどちらかに細い道が並行している区間も多いのですが、線路を見失うと住宅街に迷い込んでしまいます。たとえば新宿から狛江の自宅へ帰る場合、迷いにくい大通りを選択するなら、甲州街道、環八、世田谷通りで狛江駅へというようにジグザクに進むことになり、距離は約17kmになります。

 一方で狛江から先、新百合ヶ丘を経由して鶴川までは、津久井道が線路に並行しています。他の路線でも、都心近くでは並行する大きな道がなくても、郊外からは国道などの街道が線路に並行しだすといった路線がいくつかあります。

 ここで東京の鉄道網発達の歴史に目を向けてみましょう。東京の鉄道は、明治時代からの開業時期によりおおむね3つの世代に分かれます。鉄道路線が大きな道に沿う/沿わないは、この世代分けと関係していることに気づきます。

【街道ガン無視!】近くに大きな道がない路線の代表格(写真)

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コメント

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2件のコメント

  1. 平行道路がないと言いますが、逆に一本道があり歩行者が集中してしまうと危険じゃないですか?平行道路がなければ目的地毎に歩行者が分かれる可能性があると思います。
    本文中の小田急に関しても環七以西なら環七もしくは淡島通りから高架化した際の線路側道を伝って成城まで行けますし、以西狛江からは津久井街道と分散されますね。(もちろん異常時なのでこのようにうまく行くとは限りませんが)

  2. 川を渡る橋の多さも重要です。
    江戸川や荒川など、旅客流動の割に橋が少ない所を渡る場合、道が少なく歩行者が殺到し歩道が渋滞する可能性が高くなります。

    現に江戸川区はそれを懸念して江戸川上に橋を追加するべく動いている状態です。