東京の災害時「歩いて帰りやすい鉄道沿線」とは? 街道に沿う・沿わないの歴史的違い
自分の体力とも相談して… 歩く?とどまる?
こうしたことから、特に第二世代の路線が今でも大通りに沿っていて、災害時に歩いて帰宅しやすい路線となるわけです。第一世代の路線は、その特徴から大通りに沿っていたり沿っていなかったりまちまちです。以下、第二世代の路線で並行する大通りとの関係を挙げておきます。
●明治時代開業
・京急本線(品川~横浜):(旧)東海道(国道15号)が並行。
・東武スカイツリーライン(北千住~春日部以北):日光街道(国道4号)が並行。
・東急田園都市線(渋谷~二子玉川の地下区間):大山街道(国道246号など)が並行。
※路線としては第三世代(地下区間は昭和の開業)だが、その前身である路面電車の玉川電気鉄道は明治時代の開業。
●大正時代前期開業
・京成押上線(押上~京成高砂):水戸街道(国道6号)が並行。
・京王線(新宿~府中):甲州街道(国道20号)が並行。
・東武東上線(池袋~川越):川越街道(国道254号)が並行。
なお東京都では、首都直下の大地震が起きた場合、約517万人の帰宅困難者が発生すると予測されています。地震の直後、一斉に徒歩による帰宅が開始されると、道路渋滞を引き起こすほか、落下物や火災に遭遇する可能性もあるため、都は一斉帰宅の抑制を基本方針としています。
重要なことは、企業などでは3日間以上の飲料水や食糧の備蓄の徹底、家庭では大切な人との安否確認をできるようにしておくことなどです。そして、いざ徒歩帰宅しなければならない時、自分はどのくらいの距離を歩けるのか体験的に知っておき、日頃より都心から自宅までの徒歩帰宅ルートを地図などでよく確認しておくとよいでしょう。
【了】
Writer: 内田宗治(フリーライター)
フリーライター。地形散歩ライター。実業之日本社で旅行ガイドシリーズの編集長などを経てフリーに。散歩、鉄道、インバウンド、自然災害などのテーマで主に執筆。著書に『関東大震災と鉄道』(ちくま文庫)、『地形で解ける!東京の街の秘密50』(実業之日本社)、『外国人が見た日本 「誤解」と「再発見」の観光150年史』(中公新書)』ほか多数。
平行道路がないと言いますが、逆に一本道があり歩行者が集中してしまうと危険じゃないですか?平行道路がなければ目的地毎に歩行者が分かれる可能性があると思います。
本文中の小田急に関しても環七以西なら環七もしくは淡島通りから高架化した際の線路側道を伝って成城まで行けますし、以西狛江からは津久井街道と分散されますね。(もちろん異常時なのでこのようにうまく行くとは限りませんが)
川を渡る橋の多さも重要です。
江戸川や荒川など、旅客流動の割に橋が少ない所を渡る場合、道が少なく歩行者が殺到し歩道が渋滞する可能性が高くなります。
現に江戸川区はそれを懸念して江戸川上に橋を追加するべく動いている状態です。