那覇の公園のディーゼル機関車語る「沖縄と鉄道」 長らく“鉄道なし県”…ではなかった?

那覇市の壷川東公園にディーゼル機関車と蒸気機関車の一部が残置されています。沖縄にゆかりのある車両ですが、ゆいレールより前の時代、沖縄県の鉄道事情はどうだったのでしょうか。

沖縄本島に鉄道があった時代

 沖縄本島の壷川東公園(那覇市)に、ディーゼル機関車が残置されています。とはいえ、沖縄県の鉄道は21世紀になって開業した「ゆいレール」こと沖縄都市モノレールしかないはず。2本のレールに乗った機関車は何者でしょうか。

 実は沖縄本島には戦前、軽便鉄道や馬車鉄道、路面電車などがありました。しかし利用者減や戦災により廃止または破壊され、以降は2003(平成15)年にゆいレールが開業するまで鉄道がありませんでした。公園にある機関車は、戦前に使われていたものです。

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那覇市の壷川東公園に残置されているディーゼル機関車(2022年4月、乗りものニュース編集部撮影)。

 ただこの車両、本島で使われていたわけではないようです。説明書きを見ると「南大東島でさとうきび等を運搬するのに使われていた」と記載があります。本島から東に約400km離れたこの島では、1900(明治38)年にさとうきびの栽培が始まり、20世紀初頭には収穫したそれを運ぶための線路が敷かれたのです。線路規格はJR線などより一回り小さい、軌間762mmのいわゆるナローゲージでした。

 南大東島の鉄道は島を一周する路線のほか、北支線や南支線などがあり、島内を網羅していました。戦争を経て、製糖メーカーの大東糖業が運営を引き継ぐと、畑や製糖工場、港を結ぶ「シュガートレイン」を運行。一部では、島民を乗せる旅客輸送も担ったそうです。

 しかし、時代の変化とともにさとうきび輸送がトラックに取って代わると、鉄道は1983(昭和58)年をもって廃止に。ただ、現在も一部の線路などの設備が、道路に埋もれるように残存しています。遊歩道として整備された区間もあります。

 ところで、残置されたディーゼル機関車の後ろにもう1両、車両がつながれています。説明書きによるとこれは、蒸気機関車の下部だそう。その証拠に、車輪には前後の車輪どうしをつなぐ連結棒が残されています。

【了】

【写真】南大東島に残る廃線(踏切跡)

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