「蒲蒲線」つくっても不利? 競合になる「JR羽田空港線」 所要時間と運賃を比較してみた
蒲田~京急蒲田間に新空港線(蒲蒲線)が建設される見込みです。このライバルとなりそうなのが、JR羽田空港線(羽田アクセス線)の西山手ルート。どちらが便利か、所要時間と運賃を推察し、比較してみます。
蒲蒲線は「JR羽田空港線」と競合
JR・東急電鉄の蒲田駅と京急電鉄の京急蒲田駅は、約800m離れています。この両駅を鉄道で結び、東急多摩川線を通じて東急線内から羽田空港までを直結するというのが、通称「蒲蒲線」(新空港線)計画です。
この路線が開通すると、東急多摩川線から東急東横線を通じて渋谷へ行けます。さらに東京メトロ副都心線に直通しているので、新宿三丁目、池袋を経て東武東上線、西武池袋線に直通でき、利便性が高まります。大田区は2022年度中に第3セクターを設立し、2035年の開業を目指すとしていますが、これには「ライバル」の構想もあります。
JR東日本は東海道貨物線を一部旅客化し、羽田空港へ直結する新線と組み合わせる「羽田空港アクセス線」計画を推進しています。これは、羽田空港国内線第1・第2ターミナルの間にJR羽田空港駅を設置し、そこから新線で東京貨物ターミナル駅と接続するものです。
東京貨物ターミナル駅からは、田町方面へ向かい東京駅(上野東京ライン)に直結する「東山手ルート」、りんかい線の東京テレポート駅付近に接続し、新木場方面を結ぶ「臨海部ルート」、そして大井町駅付近からりんかい線を通じて渋谷・新宿・池袋方面、つまり湘南新宿ラインへ直通する「西山手ルート」の計3つの構想があります。
JRは「東山手ルート」を優先し、2029年度の開業を目指すとしていますが、残りの2ルートも開業へ漕ぎつけた場合、特に「西山手ルート」は「蒲蒲線」と競合関係になり得ます。
では、完成するとどちらが便利なのでしょうか。所要時間と運賃を想定し、比較してみましょう。まずは「池袋~羽田空港間」について。なお運賃は全てきっぷとします。
JR羽田空港線も加算運賃が設定される可能性は相当高いと思いますが。
新幹線のインフラを活用できた成田と違い、空港地下の難工事をゼロから行うコストを、通常運賃だけで回収するとは思えません。
新千歳や関空(いずれも東日本ではありませんが)同様、加算運賃は不可避ではないでしょうか。
そもそも新線建設コストを加算なしで回収できる(あるいは他路線の収支に混ぜ込める)なら、りんかい線はとっくにJR東日本へ吸収されているでしょう。
想像ですが、JR東日本が羽田空港線の開業を機に東京臨海高速鉄道を統合、りんかい線とJR羽田空港線を共通の加算運賃制で運営する、なんてことすらあるかもしれません。