バブル期の伝説!「オリエント急行」が日本に来るまで 世界最長距離列車のギネス記録なお

空前絶後の「パリ発 東京行き」列車、いざ

 しかし不可能と思われた企画は、「そんな列車が走ったら面白い」と各国が協力したことで、6年の準備期間を経て実現に漕ぎつけたのです。

 1988年9月7日、フランス国鉄の蒸気機関車230 G 353号機に牽引された「オリエント急行’88」は、パリから東京へ向け出発します。

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尾久駅付近の車両基地で休む「オリエント急行」。左側手前の青い車両は国鉄・JRの14系客車(1988年11月、恵 知仁撮影)。

 道中、東ドイツ(当時)、ポーランド、ソ連、中国で蒸気機関車が牽引し、香港まで1万4600kmを走り抜けた「オリエント急行」は、船に積み替えられて山口県下松市の日立製作所笠戸工場に運ばれました。

 ここではスタッフ用寝台車1両、荷物車1両、食堂車1両、プルマン車(高級食堂車)1両、バーサロン車1両、寝台車6両が、スハ43形客車などが装備していた台車へ交換されるなど、国内走行に適した改造が行われました。同時に20系寝台車と50系荷物車も、連結器の対応と発電機確保のために改造され、「オリエント急行」の客車を挟んで編成を組んでいます。

 満を持して、「オリエント急行」は広島~東京間を走行、世界最長列車記録を樹立します。そしてJRグループ成立1周年を記念し、日本全国を3か月かけて回る「クルーズトレイン」となったのです。この日本巡航は、JR北海道やJR四国管内でも運行が行われるなど、徹底したものでした。

【写真】連結された高級食堂車の車内

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