バブル期の伝説!「オリエント急行」が日本に来るまで 世界最長距離列車のギネス記録なお

あちこちガタが来ているぞ…

 とはいえ、「オリエント急行」の客車は製造後60年を経ている車両だけに、雨漏れやトイレ詰り、送配電の問題で室内灯が付かない、バッテリーが落ちる、ブレーキシリンダーが劣化するといった問題が頻発しました。

 またある時は「車両の電気を維持するディーゼル発電機の給油が難しいから、食堂車の冷蔵庫や冷凍庫から食材を外に出して保管してほしい」という指示が伝わらず、冬なので一時的に冷蔵庫を切り、燃料を持たせるといった対策も行われました。現場は相当苦労したようです。

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箱根ラリック美術館で特別展示されるプルマン車「No.4158 DE」(2022年6月7日、安藤昌季撮影)。

 様々なトラブルに見舞われても、「旅客サービスでごまかしはしたくない」という「オリエント急行」側の要望に日本側は全面協力し、大好評を博して運行を終えました。

 日本国内での最終運行では上野~大宮間を、蒸気機関車D51形498号機と「お召し機関車」である電気機関車EF58形61号機が重連で牽引しました。当日、筆者(安藤昌季:乗りものライター)は最終とは知らずに上野公園に行きましたが、見物客が車道に溢れるほどの人気ぶりでした。

 なお、この列車に連結されたプルマン車「No.4158 DE」は2004(平成16)年に再来日し、箱根ラリック美術館の特別展示「ル・トラン」となって現在に至ります。その様子は次回、紹介します。

【了】

【写真】連結された高級食堂車の車内

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Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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