ついに終焉「国鉄の急行型気動車」キハ58系 何がすごかったのか 全国に急行広めた立役者

そのままでは冷房装置を付けられなかったキハ58系

 根室本線のキハ56系の急行「狩勝」は、それまでのSL牽引による客車準急よりも所要時間が3割近く短縮され、気動車の高い加速力を示しました。キハ58系は修学旅行用の800番台も製作され、全国各地で活躍します。しかし生活水準の向上により、キハ58系には「冷房がない」という問題点が指摘されます。

 バスとの競争下にある九州で1963(昭和38)年、2等車から格上げする形で1等車キロ28形に冷房が取り付けられます。その後は1969(昭和44)年より、普通車の冷房化が実施。しかし、2台エンジンのキハ58形は床下にスペースがなく、冷房稼働に必要な電源セットを取り付けられません。

 1台エンジンのキハ28形が組み込まれていれば、キハ58形を含む3両に給電できるのですが、勾配の多い路線では高出力とするため、キハ58形だけの編成も少なくありませんでした。中央本線ではグリーン車にまで、2台エンジンのキロ58形が投入されたほどです。そのため、1台でも済むよう出力を500馬力に増強した新型エンジンを搭載し、電源セットも装備できるキハ65形を開発して、冷房化を進めていきました。

 しかし国民所得の向上や、新幹線、電化区間の延伸、高速バスの登場などもあり、急行列車は「スピードが遅く、設備が普通列車と大差ないボックス式クロスシート」という中途半端な存在となり、多くが消滅するか、特急に格上げされることになります。

【写真】中国・天津に放置された国鉄色キハ58系

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