ついに終焉「国鉄の急行型気動車」キハ58系 何がすごかったのか 全国に急行広めた立役者

終焉する優等用国鉄型気動車 しかし改造で返り咲く!

 時代遅れとなったキハ58系は、1980(昭和55)年の急行「能登路」用ロマンスカーを皮切りに、接客設備向上のために改造を受けたほか、団体観光列車にも転用されました。

Large 221012 fkcym 03

拡大画像

「ゆふいんの森」(I世)に使われるキハ71形。キハ58・65形の改造(画像:JR九州)。

 特に「急行」で運行される列車では、0系新幹線の転換式クロスシートに換装した車両も多く見られました。その中には、初めての水戸岡鋭治氏デザイン「アクアエクスプレス」もあります。回転式リクライニングシートを採用し、特急形並みの設備となった車両もありました。なお、定期急行列車からの引退は2007(平成19)年。広島~三次間の急行「みよし」でした。

 一方、団体用観光列車への転用は全国で行われました。展望席を備えた「アルファコンチネンタルエクスプレス」(JR北海道)や「サロンエクスプレスアルカディア」(JR東日本)、特徴的な唇を前頭部に備えた「リゾートサルーン・フェスタ」(JR西日本)などです。

 最後に観光列車に改造されたのは、2006(平成18)年登場のJR九州「あそ1962」で、2010(平成22)年の運行終了後も2019年の廃車まで、「JRグループで原型をとどめた最後の営業用キハ58系」となりました。ちなみにJRから消滅するのは2020年、JR東日本が訓練車として用いていた車両を廃車した際です。

 冒頭で述べた通り、いすみ鉄道に譲渡されたキハ28形が定期運行を終了するため、キハ58系は完全に引退といえそうです。ただし細かい点を見れば、JR九州の「ゆふいんの森I世」で運用されているキハ71形が台車など一部を流用しているため、こちらが「最後のキハ58・65形」ともいえるでしょう。

【了】

※一部(急行列車名)修正しました(10月23日13時10分)。

【写真】中国・天津に放置された国鉄色キハ58系

テーマ特集「【鉄道特集】往年の名車、活躍中のエース どんな車両? 国鉄時代の思い出も」へ

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。