新横浜 博多 宇都宮… 新線開業のウラで値上げラッシュ どうなる2023年の鉄道
各社で実証実験が行われたVisaタッチ
運賃関係といえば、JR東日本の「オフピーク定期券」に注目です。これは通常の定期券を約1.4%値上げし、一方でピーク時間帯に利用できない定期券を約10%値下げするというもの。ラッシュピーク分散の切り札として導入を働き掛けてきただけに、どれほどの効果が出るのか注目です。
もうひとつ新しいトレンドになりそうなのはVisaタッチの利用拡大です。これまでもバス事業者を中心に導入が続いていましたが、昨年はJR九州、西日本鉄道、泉北高速鉄道など規模の大きい鉄道事業者でも実証実験が行われ、南海電鉄、長良川鉄道は正式導入を決めました。
注目は東急電鉄が昨年12月8日、今年夏から田園都市線を中心に先行導入し、2024年春に全線展開すると発表したことです。今後は大手私鉄にも波及する可能性があるでしょう。
今後も鉄道サービスを維持するために利用者に一定の負担を求めるのはやむを得ませんが、同時に利用者のニーズを掴んだ多様なサービスへの投資を欠いてしまったら生き残れません。時代の変化にあわせた新しいサービスの登場に期待しましょう。
【了】
Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx
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