日本も“ちゃぶ台返し”される? 日英伊の次期戦闘機開発に働く“力学” 豪の新潜水艦の顛末に学べ

次期戦闘機も油断できず? ゼロじゃない「ちゃぶ台返し」の可能性

 次期戦闘機の前作機になるF-2戦闘機が生まれたのは、日本が積み上げた開発力を米国に警戒された結果、F-16の大規模改造を余儀なくされたためです。いわば「戦後の日米関係」が力学として働いた結果でした。

 次期戦闘機の開発は、今後どんな「力」が働くのでしょう。豪原潜で仮に日本が「ちゃぶ台返し」をされたのなら、次期戦闘機の開発は二の舞にならないように警戒心は高まったかもしれませんが、現状の日本国内の感じようは、“対岸の火事”で終わっているように思います。「塞翁が馬」のように、政治的な「力学」によって、いつ不幸がわが身に訪れるか、今回の豪原潜の件で検証する空気は薄いようです。

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日英伊が共同開発する次期戦闘機のイメージCG(画像:防衛省)。

 次期戦闘機は現在のところ、機体を英伊と、随伴する無人機の開発研究を米と行うことで棲み分けができています。しかし、開発比率や開発費、製造比率の分担と負担、装備品の選択などで、日英伊の足並みが乱れる可能性はまだ捨てきれません。米がインターオペラビリティ(相互運用性)を理由に、自国産部品の採用を機体開発でも持ち掛けてくることも考えられなくはありません。

 この時、英伊との「力学」がどのように働き、開発を続けるためにどうまとめなければならないのか。日本は国際共同開発の経験をこれから積み上げ、設計者だけでなく、政財官が合わせて交渉力を高めなければなりません。豪潜水艦の事例を参考に、不幸を避ける策を研究する必要があるのではないでしょうか。

【了】

【双子やん!】仏で誕生「次期戦闘機そっくりすぎる新型戦闘機案」

Writer: 清水次郎(航空ライター)

飛行機好きが高じて、旅客機・自衛隊機の別を問わず寄稿を続ける。

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コメント

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2件のコメント

  1. ありがたい記事。
    世間的にも是とする記事が多く懐疑的な記事も見えなかったが、私的には何故か違和感でしかなかった豪原潜。
    太平洋の平和は、QUADよりAUKUSを米も英も選んだんやろ、日本はハブられて技術屋処か只の材料屋になって行く気がする。

  2. ちゃぶ台返しは今に始まったことではない。
    むしろちゃぶ台の返し合いが常で、そのままいだだきます、ごちそうさまのが珍しい。

    小銃弾の統一を強要しときながら、勝手にサイズを変更。

    共同開発のF2戦闘機も最終的にいち抜けされ単独開発。
    エンジンはパテント料むしられブラックボックスの開示もなし。
    そのくせカーボンモノコック技術だけはちゃっかり盗んでいく。

    米独共同開発戦車も、ユーロファイターいち抜けのフランスもそう。

    共同開発締結とかで喜んでるのはただのお花畑さん