え、「空母サンパウロ」艦載機もつくってたの!? 沈められた母艦 同じくらい“子”も不運だった

アスベスト問題などでブラジル沖に自沈処分された元空母「サンパウロ」。この機体で運用する予定で開発されていた航空機もまた、不遇な道を歩みました。

「サンパウロ」自沈の数日後に計画中止

 KC-2の改造計画は、最大10人の武装した兵士を乗せた状態で2万5000フィート(約7600m)の上空から自由降下させる機能のほか、索救助活動機能、さらに「サンパウロ」の艦載機であるA-4「スカイホーク」を近代改修したAF-1に空中給油を行う設備までつけるという野心的ものとなりました。南米のメディアによると、2011年頃にはこのような計画がまとまっていとのこと。

 本格的にエンジンの換装や電子機器の刷新などの改修に動きだしたのは、2014年12月にイスラエルの軍需企業エルビット・システムズの子会社であるエルビット・システムズ・アメリカに発注したときからのようです。なお、「サンパウロ」は2012年2月に火災事故を起こし、いよいよ長期間の就役が怪しくなっていますが、まだ同艦の近代改修をブラジル海軍は諦めておらず、最短でも後15年くらいは同艦を使う予定でした。

 その後、KC-2の開発が難航していたのは確かなようです。2018年11月にようやく最初のエンジン始動実験を成功させました。しかし、これにさかのぼること2年近く前の2017年2月に「サンパウロ」は近代改修を断念し、既に退役しています。それでも、KC-2はヘリ空母やほかの海軍機の支援用として開発自体は続けられていたようです。

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KC-2として改修された後のコックピットのイメージ。液晶パネルなどもあり近代的(画像:ブラジル海軍)。

 2019年9月にはプロトタイプの初飛行が可能になる予定でしたが、これも難航。そうしている間に新型コロナウイルスの影響で完全に開発計画が停止してしまうという母艦譲りの不運にも見舞われ、「サンパウロ」が沈んだ7日後の2023年2月10日、政府の命令により正式に計画は凍結となりました。

【了】

【今にも飛びそう…だが!】エンジン始動実験を行うKC-2(写真)

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