冷房なんてほぼない! 真夏の自衛隊車両“灼熱地獄” 一体どう乗り切っているのか

クラシックカーやいわゆる旧車とよばれる古いクルマを除くと、ほぼ標準装備となった車両用クーラー。ただ、自衛隊車両についてはまだまだ未装備のものも多く残っています。それらに乗った際の過ごし方を陸自OBが振り返ります。

冷房付き車両でも効きはイマイチ その理由

 ただ、それでもまだ良い方です。自衛隊車両というとトラック(ダンプ)の荷台に隊員が乗って移動するのをよく見ますが、これが非常に「苦痛」です。荷台には簡易的な板状の折りたたみベンチしかなく、エアコンなど設置されていません。しかも操縦席や助手席とは完全に隔離されて幌で覆われているため、凌げるのは直射日光のみです。そのため、中は熱せられた空気が常に漂っている状態といえるでしょう。

 とはいえ、本当の地獄はクルマが止まった時です。走行中であれば幌の隙間や、ロールアップできる小窓を全開にすることで、まだ荷台にも外気が流れ込むのですが、渋滞などでトラックが止まってしまうと、荷台は一気に蒸し暑くなります。

 当然、トラック自身が発する排気熱なども荷台に伝ってくるため、ただ座っているだけなのに熱中症になりそうなほど熱くなります。

 後部の幌を閉めれば上着を脱ぐこともできますが、閉めたら閉めたで内部はさらに暑くなりサウナ状態です。そのため、隊員は上着の袖をまくり服に籠る熱気を我慢しながら後ろの幌を開けて、少しでも荷台に空気が流れるようにしているのです。

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演習場内を走る3 1/2tトラック。自衛隊のトラックは荷台に人員を乗せることができるが、ここにはエアコンなどなく、椅子も折畳式の板状ベンチのため、快適性は皆無だ(柘植優介撮影)。

 トラックの荷台は人員輸送のほかにも、さまざまな物資を搭載するほか、場合によっては土砂なども積載します。ゆえに、荷台に冷房装置を取り付けるのは現実的ではないため、自衛官は危険な暑さの中でも、ひたすら耐えなければならないのです。

 もちろん、クーラーボックスなどを準備して冷たい飲み物が手に入る環境にすることもできるのですが、2日間以上行動しなければならない時は、全ての飲み物が温められ、水はお湯になります。

 結果、大型トラックの荷台などに乗る隊員は、「耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ」しか方法がなくなるのです。

 ただ、最近では冷房も「スポットクーラー」のような可搬式のものがあるため、近い将来、そういったものを後付けする形で荷台にもクーラーを備えた自衛隊トラックが登場することを筆者は願望を込めて期待します。

【了】

【え…ここに数日間?】エアコンはおろか窓すらないシェルタートラックの内部(写真)

Writer:

2003年陸上自衛隊入隊。約10年間勤務した後にフリーフォトライターとなる。現場取材に力を入れており、自衛官たちの様々な表情を記録し続けている。「SATマガジン」(SATマガジン編集部)や「JWings」(イカロス出版)、「パンツァー」(アルゴノート)などに寄稿。

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