魔改造されすぎ「12系客車」 なぜ未だに大活躍? 気動車化に車体載せ替え…何でもアリな半世紀

私鉄ほか海外でも活躍の場を広げ

 ほかにもイベント客車用として、「いこい」や「サイエンストレイン エキスポ」、「トロッコファミリー」、「きのくにシーサイド」などに61両が改造されました。変わったところでは、寝台特急「あさかぜ」「瀬戸」のロビーカーに改造された車両や、気動車に連結するため駆動用エンジンを持たずして「キ」形式を名乗ったキサハ34やキサロ59が存在しました。

 結局、改造された車両は計275両にもなり、603両の半分近くに相当します。私鉄へも譲渡され、秩父鉄道や東武鉄道、わたらせ渓谷鐡道、樽見鉄道、若桜鉄道のほか、海外ではフィリピン国鉄やタイ国鉄でも使われています。

 特筆すべきは、「SLばんえつ物語」の両端に連結されるスロフ12形102号車とスハフ12形101号車、東武鉄道「SL大樹」に連結されるオハテ12形展望車でしょう。前者は車体を新潟トランシス製の新車に載せ替えていますし、後者はオープンデッキの展望スペースを設けています。登場後53年を経過しても、新たなバリエーションが次々登場する12系は、それだけ本系列の完成度を示しているともいえるでしょう。

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「SLばんえつ物語」の12系(安藤昌季撮影)。

 保存車両も少なく、交換部品がないことから「SLより維持が難しい」ともされる12系ですが、JR東日本と西日本、秩父鉄道、東武鉄道、わたらせ渓谷鐡道ではいまだに現役で、大井川鐡道が保有するレトロ車両も、現役復帰を前提としているようです。

 もはやSL列車やトロッコ列車の編成風景になっている12系客車。1日でも長い活躍を期待したいものです。

【了】

※誤字を修正しました(10月10日13時00分)。

【え、マジで?】魔改造後の12系客車です

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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