結局「スポーツカー祭り」だったモビリティーショー これが日本の現状? EVも多かったけど
実際には多くが「EVコンセプト」 発売するの?
ですから、トレンドで「EVシフト」が叫ばれていても、日本国内向けに新しいEVの新型車を投入しにくいというのが正直なところ。そうした状況を反映しているのでしょう、今回の「JMS2023」でも、日本で市販間近と言えるEVの新型車のコンセプトは、実のところごくわずかしかありませんでした。
具体的にはホンダとスズキ、ダイハツが展示した軽商用EVバン、それと2025年発売を予告するスズキの「eVX」。それくらいです。ホンダのEVである「プロローグ・プロトタイプ」は北米向けで日本ではありません。トヨタが市場投入の時期を明言したのは、レクサスの1台のみで、しかも3年も先の2026年でした。日産、マツダ、スバル、ダイハツのコンセプトは、見るからに量産車から遠く、当然のように、「いついつ発売する~」というような説明はありません。
つまり、「トレンドはEVなのに、現実には売れていないから新型車は難しい。出せるのは夢のコンセプト中心」というのが現状です。そうした中で、自動車メーカーがどんなコンセプトカーを出品しようかと考えれば、「ショーを盛り上げるスポーツカーにしよう」となるのもおかしな話ではありません。
スポーツカーのコンセプトが多かったのは、「新型車が出せないから、せめてお客さんが喜ぶスポーツカーにしよう」というのが理由だったのではないでしょうか。
【了】
Writer: 鈴木ケンイチ(モータージャーナリスト)
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブ媒体にて新車レポートやエンジニア・インタビューなどを広く執筆。中国をはじめ、アジア各地のモーターショー取材を数多くこなしている。1966年生まれ。
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