巨大な動く壁!? 日本生まれ「世界最大級のコンテナ船」どんどん竣工! これが物流の世界サイズ 日本には“帰って来られない”
子供たちに見送られて出航した巨大貨物船「もう帰ってこないよ!」
「ONE INSPIRATION」の船内には、冷凍・冷蔵貨物の輸送に使用されるリーファーコンテナの電源プラグが2000TEU分以上用意されており、コンテナ内に窒素を充満させて青果物の鮮度を保持したまま海上輸送が可能なCAコンテナにも対応。顧客のニーズに沿ったサービスをより柔軟に提供できるようにしました。
また、固定式陸電供給システムが搭載されており、接岸時には発電機の使用を抑え、陸上電源から供給を受けることによって、港内でのCO2(二酸化炭素)排出量を抑制します。
鮮やかなマゼンタの船体が目をひきますが、船首にも「ONE」と大きく社名が書かれた構造物が備えられています。これは「ウインドシールド」と呼ばれるもので、船首側からコンテナのホールドに向かってくる風圧の抵抗を減らし、燃料消費を低減する役割をもっています。
バルバスバウ(球状船首)の形も工夫し、効率良く航行できるようになっているほか、船尾も形状を見直し、舵がプロペラによって得られる推進力の邪魔にならないような配置になっています。もちろん近年の環境規制にも対応しており、たとえばSOx(硫黄酸化物)を回収するスクラバーなどの装置も搭載しています。
さて、日本の造船技術の結晶である2万4000TEU型コンテナ船ですが、その巨大さゆえ、世界的にも入れる港が限られます。「ONE INSPIRATION」も中国~欧州航路へ就航するため日本へ寄港する予定はありません。6番船が引き渡されれば、日本でONEの2万4000TEU型コンテナ船を見ることはないでしょう。
多くの関係者や地元の子どもたちに見送られ、広島湾をゆっくりと出ていく「ONE INSPIRATION」。海外の港で見かけたときは、同船が呉生まれのコンテナ船であることぜひ思い出してください。
【了】
Writer: 深水千翔(海事ライター)
1988年生まれ。大学卒業後、防衛専門紙を経て日本海事新聞社の記者として造船所や舶用メーカー、防衛関連の取材を担当。現在はフリーランスの記者として活動中。
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