前翼付きは「震電」だけじゃない! 米英も開発した異形の戦闘機「エンテ型」結局どうなったのか?

旧日本海軍が終戦直前に初飛行させた試作機「震電」は、エンジンとプロペラを機体後部に付けた、特殊な形状をしていました。しかし、同時期に同じような機体は他国でも開発されていました。それらは一体どうなったのでしょうか。

高速で重火力なら「形は問わず」 アメリカのエンテ型

 アメリカで開発されたエンテ型機のXP-55「アセンダー」は、P-40「ウォーホーク」戦闘機などを設計したカーチス・ライト社が手掛けた機体です。発注元のアメリカ陸軍航空隊(現アメリカ空軍)は1939年に、従来のプロペラ単発型の戦闘機よりも「高速で重火力を備えて視界良好」な機体なら、どのような設計のものでもよいという要求仕様を提示しました。これに対し、カーチス社はエンテ型の本機を提案し、陸軍航空隊からゴー・サインを得て開発に着手します。

 ただ、きわめて実験性の高いプロジェクトであり、「うまくいけば実用機となる」程度の判断で始まった開発でした。一応、社内における自費での実験などを済ませたあと、1943年7月19日に試作1号機を初飛行させます。しかし、安定性が著しく不足していることが問題視されました。

 その原因のひとつが、当初予定されていた2200馬力の新型エンジンが開発中止になったため、代わりに約1200馬力と1000馬力も低出力のエンジンを使わざるを得なかったことだとか。この結果、アンダーパワーとなっただけでなく、安定性にも影響が出たとされています。

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アメリカで開発されたXP-55「アセンダー」。試作1号機の初飛行は「震電」より2年以上早い1943年7月19日(画像:サンディエゴ航空宇宙博物館)。

 なお、日本の「震電」も初飛行時に安定性が独特である点が指摘されていることから、エンジン出力の問題よりも、エンテ型という形状が、既存の飛行機とは異なる、研究があまり進んでいない独特の飛行特性を生じさせた、というのが実情だといえるでしょう。

 加えてXP-55の最高速度は、同時期のオーソドックスなデザインの単発エンジン戦闘機よりも遅いものでした。安定性に欠け、さらに速度も遅いのでは開発を継続する意義が見出せません。こうして、同機は1945年5月に開発中止となってしまいました。

【震電より異様かも!】これが空を飛ぶ「アセンダー」と「リベルラ」です(写真)

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