踏切開いた→まさか電車来るとは! 教習所で習う「窓開け」は本当に“カビの生えた”教習なのか

見逃せない第四種踏切の存在

 その「交通の方法に関する教則」には、次のように記載されています。

「踏切を通過しようとするときは、その直前(中略)で一時停止をし、窓を開けるなどして自分の目と耳で左右の安全を確かめなければなりません」
「警報機が鳴つていないときや、遮断機が降りていないときでも、機械が故障している場合がありますから、必ず安全を確かめてから渡るようにしましよう」
「エンストを防止するため、変速しないで、発進したときの低速ギアのまま一気に通過しましよう」(MT車の場合)

 しかしながら、現在は多くの踏切に警報器がついており、列車が近づけばカンカンと音が鳴ります。窓を開けなくても聞こえる音量であり、前出の自動車教習所の関係者も「実際には、窓を開ける人は少ないでしょう」とも。ただし「教習や検定の際にこれを実践しないと減点」だといいます。

 このように教え始めたのは昭和30年代だとし、当時、地方では遮断機も警報器もない踏切が今よりずっと多く、列車が来ないことを耳で確かめたうえで横断する必要があったとのこと。今でこそそのような踏切は少なくなっていますが、「教習は全国を網羅しないといけないので(窓開けの教習が)残っているのでしょう」と話します。

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遮断機も警報器もない「第四種踏切」。JR西日本は事故防止のため、手で押して開けるゲートの設置を進めている(画像:JR西日本)。

 ちなみに遮断機も警報器もない踏切は「第四種踏切」といい、国土交通省の資料によると、2022年3月末時点で全国に2455か所あるそうです。

 今回の事故をめぐりSNSでは、窓開けする人が少数派であることに驚く声も聞かれます。機械である以上、踏切装置であれ故障がゼロとは言い切れません。万が一の場合を考慮すると、忘れがちな教習にも意味があると再認識できるでしょう。

【了】

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