空自「F-35」乗りはコックピットで何してる? パイロット語る “高性能” ゆえの苦労 もはやF-15とは別次元!?

F-35Aのキモ「センサー・フュージョン」とは?

 さらに、F-35とF-15の違いについて、入田2佐は次のように話してくれました。

「F-15のコックピットでは、たとえばレーダーとレーダー表示装置、レーダー警戒装置とその表示器、エンジンとエンジン計器のように、それぞれのシステムごとに、専用のディスプレイや計器が設けられていました。パイロットは、それらディスプレイや計器から得られた個別の情報を『自らの頭の中で統合』して、戦闘状況を自分なりに構築する必要があります。

 しかし、F-35の場合は、機体システムが各種センサーなどによって収集した様々な情報を自動的に統合してディスプレイに表示してくれるため、パイロットは戦闘状況を視覚的に把握し認識することが可能となっています」。

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F-35A戦闘機を運用する第302飛行隊の隊長を務める入田太郎2等空佐(布留川 司撮影)。

 F-35というと、冒頭に記したようにステルス戦闘機であることばかりが注目されていますが、この機体の重要な能力としては、このような「情報の統合化」も挙げられます。

 戦闘機が、敵機や目標を探し、戦闘空域がどのような状況になっているかを知る手段はいくつもあります。敵機や飛行目標であればレーダー、地上目標や近距離の空中目標であれば光学センサー、味方の航空機などが探知した目標であればデータリンクで情報共有することが可能です。しかし、これらで得られる情報はフォーマット(書式や体裁)から内容、表示の仕方までバラバラであり、従来の戦闘機ではそれらをまとめるのもパイロットの仕事とされていました。

 F-35では、それら複数の情報を機体側のシステムが自動的にまとめてくれ、パイロットが理解しやすいよう、統合化された1つの視覚情報として表示することが可能です。このような能力は「センサー・フュージョン(融合)」と呼ばれ、F-35がカテゴライズされている第5世代戦闘機には必須の条件だと言われています。

【F-15とF-35の両方を知る男】実際に戦闘機を操縦する入田2佐とコックピット(写真)

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