空自「F-35」乗りはコックピットで何してる? パイロット語る “高性能” ゆえの苦労 もはやF-15とは別次元!?

パイロットのやるべきことはF-15よりも増えた?

 一考すると「センサー・フュージョン」とは情報の整理を機体側に任せて、戦闘機の戦いを自動化しているようにも思えます。しかし、入田2佐によるとそれは違うようです。

「F-35は優れたセンサーシステムを持っているため、(収集する情報の量も膨大であることから)機体がパイロットに提供できる情報も限りなく多いです。そこから、パイロットが戦闘状況を正確かつ迅速に認識するには、ディスプレイに表示させる情報を適切に選択し、なおかつそれらを瞬時に理解する能力が必要になります。

 私自身も経験があるのですが、F-35に機種転換したばかりの頃、コックピットのディスプレイ情報を見た際に、視覚的にそれを認識していても、情報を頭で理解して自分の次の行動に結びつけることがスムーズにできませんでした。F-35パイロットに職人芸というものがあるならば、これら膨大な情報の選別とそこからの素早い状況判断だと思います」。

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2022年の三沢基地航空祭で行われた12機のF-35Aによる一大編隊飛行。先頭機を操縦していたのが入田2佐であった(布留川 司撮影)。

 メーカー情報によると、F-35のコックピットにあるディスプレイの大きさは幅約50cm、高さ約20cm。そこを2分割、4分割、8分割と区切って異なるウィンドウで情報を表示することができます。これは、パソコンで複数のアプリケーションを同時に動かす「マルチ・タスク」と似ています。

 アプリケーションソフト自体を快適に動かすのはパソコンの処理能力に左右されますが、複数のソフトを組み合わせて効率よく作業を進められるかは、使う人間の技量に左右されます。パソコン作業と戦闘機の操縦を同列に扱うのは乱暴かもしれませんが、作業効率という点では共通性があるのではないでしょうか。

【F-15とF-35の両方を知る男】実際に戦闘機を操縦する入田2佐とコックピット(写真)

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