割引額は「誰にもわからない!」 高速道路の新・深夜割引はまるでガチャ? 適用条件「走った分だけ」「上限あり」さらに「運」
見直しが進められていた高速道路の「深夜割引」について、新制度の方針が固まりました。いままでよりも大幅に複雑な計算方法となるだけでなく、適用時間帯をまたぐ場合、実際の割引額は事前には「誰にもわからない」ものとなります。
120km/h上限の新東名を1時間走っても、割引対象距離は「105km」まで
2025年春の実施が予定されている高速道路の「深夜割引」の改変内容が、NEXCO3社から2024年7月12日に公表されました。しかし、この割引制度の説明、じっくり読んでもわかりにくい、というか、事前に割引額が計算できるようでできない――高速道路上に滞留する大型車の排除が目的ですが、利用者の不満は高まりそうです。
高速道路料金の深夜割引は、現状では割引時間帯に1分でも高速道路を利用していれば、入口料金所から出口料金所まですべての距離が割引対象になります。しかし、今度の深夜割引は、割引時間帯に走った区間しか割引対象になりません。新たな深夜割引のポイントから解説します。
・深夜割引時間帯:22時~翌5時
・割引対象区間 深夜割引時間帯に走った距離(ただし上限682.5km、普通車)
割引時間帯は、現行の0時~4時までの4時間と比較すると、7時間に拡大しました。その開始時刻の22時と終了時刻の翌5時に、どこを走っていたか。これが割引料金算出の基本になります。
しかし、割引時間帯に利用した距離だけを対象とする変更のほかに、割引対象の距離にも上限が設定されました。1時間で105kmまで。最高速度120km/h(大型車等を除く)の新東名を走行するケースでは、1時間あたりの走行距離はゆうに105kmを超える可能性がありますが、こうした場合でも一律です。その上で4時間を超える走行は、割引時間内であっても「30分の休憩相当分を除外」した距離が対象になります。
つまり4時間を超える走行では30分を休憩とみなして割引対象から除外するので、深夜割引となる最長距離は682.5kmまでです。深夜割引を得るための無理な連続運転を防止する対策だと、高速道路会社は説明します。
そして、今までと大きく違うのは、22時と翌5時の2つの時点で、利用車がどこにいるか、という位置情報が必要なことです。
入口料金所と出口料金所が時間帯におさまる場合は、これまで通り利用区間=割引対象となるケースが多いと考えられますが、時間帯におさまらない場合は、どこまでを割引対象とするか。位置を確定しなければ割引額が計算できません。
ETC2.0ならばGPS機能が付いていますが、根拠となるほどの正確な位置は期待できません。それより規格が古いETCにはそもそもGPS機能がありません。新たな制度の問題点は、「割引対象となる利用距離が、高速道路会社も実は明確にわからない」ことです。
割引の最適解が容易に求められないということは特定の利用方法に集中しないということなので問題解決になっています。また割引の原資である料金収入が特定の利用方法をとる車にだけ使われることもないため平等になると思われます。