JR西日本vs京阪に「阪急」も名乗り! 関西「有料座席」競争ますます熾烈 一番イイのはどれ?

居住性を重視「PRiVACE」

■阪急電鉄「PRiVACE」
 紹介したほかの車両と異なり、車両中央にホテルのエントランスのような出入口があり、客室が前後2つに分けられています。座席は大型ヘッドレストが備わった1+2列の回転式リクライニングシートで、定員は40名です。

 インテリアは阪急の伝統を踏襲し、ゴールデンオリーブの座席モケットと、木目調の化粧板です。通路全体にカーペットが敷かれているため、高い静粛性を実現しています。全体的に「派手さはないが、質実剛健」なインテリアという印象を受けました。

 座席間隔1050mm、座席幅は1人掛けが465mm、2人掛けが480mmで、スペース面では3社で最も広いです。リクライニング角度は通常時が9度、最大20度です。

 付帯設備はインアームテーブル、読書灯、個別コンセント、ドリンクホルダー、マガジンラック、小物掛け、個別コンセントと充実。無料Wi-Fiや空気清浄機、大型荷物置き場、車いすスペース、大型モニターもあります。

 座席はヘッドレストと座席間仕切りが大きく取られ、プライベート感があります。頭の部分が柔らかく、座面もリクライニングに連動して動くため、かなり座り心地に優れています。中間肘掛けは狭いのですが、仕切りに体をもたれかからせることで、快適に過ごせます。

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阪急2300系「PRiVACE」(安藤昌季撮影)。

 快適性は抜群ですが、他社が2列1窓なのに対して、プライベート感を重視するあまり1列1窓なので、側窓がかなり狭いです。一方でこのことが静粛性に貢献しているので、ヘビーユーザーであればむしろ利点ですが、観光気分で車窓を眺めるのには向いていません。料金は区間によらず500円です。

 なお、特筆すべきは4番と5番のBC席(2人掛け座席)にチャイルドシートを装着できることです。利用者は予約時に対象の席を予約し、車内でアテンダントに申し出ると利用できます。

※ ※ ※

 全てに乗車したうえでの感想ですが、インテリアは「プレミアムカー」、速達性は「Aシート」、快適性は「PRiVACE」と感じました。

 それぞれに良さがある、京都~大阪間の有料座席サービス。乗り比べてみてはいかがでしょうか。

【了】

これが京阪間3社の有料座席です(写真)

Writer: 安藤昌季(乗りものライター)

ゲーム雑誌でゲームデザインをした経験を活かして、鉄道会社のキャラクター企画に携わるうちに、乗りものや歴史、ミリタリーの記事も書くようになった乗りものライター。著書『日本全国2万3997.8キロ イラストルポ乗り歩き』など、イラスト多めで、一般人にもわかりやすい乗りもの本が持ち味。

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1件のコメント

  1. 元祖有料特急の老舗、近鉄の「あをによし」を忘れとるぞ