まだまだ走る?「国鉄最後の特急気動車」のいま 主力の座はすぐ奪われたが…38年現役のワケ
発達した高速道路網が脅威に
普通車の接客設備は、キハ181系の簡易リクライニングシート(座席間隔91cm)に対してフリーストップリクライニングシート(座席間隔94cm)が採用され、快適になりました。なお、普通車・グリーン車の合造車であるキロハ186形だけは座席が異なり、普通車は座席間隔102cmで、0系新幹線の転換式クロスシートが装備され、折り畳み式大型テーブルも備えました。
グリーン車は国鉄標準であるフットレスト付きリクライニングシート(座席間隔116cm)ですが、大型背面テーブルが付き、座面・背もたれ形状が改良され、居住性は向上しました。
こうして完成したキハ185系は、予讃線の特急「しおかぜ」など四国内の看板特急に投入され、最大9両の長大編成で運行されました。
しかし、看板特急としての活躍は短いものでした。四国内の高速道路延伸によりJR四国の特急列車は脅かされ、国鉄特急形を改良したキハ185系でも、性能・接客設備で力不足とされたのです。JR四国は世界初の振り子式気動車である2000系を開発し、キハ185系の最終ロットの翌年である1989(平成元)年には、試作車が製造されます。
2000系は振り子付きで最高120km/h、フットレスト付きリクライニングシートを備えた普通車、1+2列となったグリーン車と快適性で上回り、所要時間もキハ185系「しおかぜ」より最大で40分も短縮したのです。
このため、キハ185系は登場から6年の1992(平成4)年に早くも余剰となります。全52両のうち、20両がJR四国からJR九州に売却され、九州の特急「ゆふ」などで使用されました。
なお、1992年はJR九州の看板特急787系電車の登場年で、譲渡されたキハ185系は赤と銀の塗装に変更されます。内装はグレー、座席は黒と787系に似たデザインとなり、和式トイレは洋式化、キロハ186形のグリーン席は普通車に格下げされ「乗りトク」設備となりますが、走行用エンジンが追加されました。
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