その歴史は「軽トラの全て」 スズキ・キャリイの63年 歴代で“賛否両論の異端モデル”とは?

日本の商用車といえば、1950年代までオート三輪が代表的でした。しかし、その後に安価な四輪商用車の市場が拡大し、1960年台には四輪軽トラックが登場します。そんな中、63年におよぶロングセラーを実現しているのが、スズキのキャリイです。

前輪もっと前に!やっぱ後ろに!? の時代

 1990(平成2)年1月に軽自動車規格が改定されると、これに適合したキャリイが発売されます。ここから4サイクルモデルのみとなり、排気量は660ccにアップ。そして翌年の1991(平成3)年には、この機構をベースにした9代目が登場します。規格の範囲内最大の車体サイズに変更し、シリーズ全車とも12インチタイヤとフロントのディスクブレーキを採用するなど、走行時の安定性、制動性能を格段に高めました。

 1998(平成10)年10月には軽自動車規格がさらに改定され、翌年の1999(平成11)年には再びフルモデルチェンジした10代目が発売されました。小さなボンネットを備えることで、前輪を前方にやや移動させた新レイアウトになりました。

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10代目「キャリイ(1999年)」。新レイアウトによって前輪を前方に移した(画像:スズキ)。

 ただし、この新レイアウトには賛否両論があったのか、2005(平成17)年に登場した「ショートホイールベース車」では前輪が後方に戻ります。軽トラックの特長でもある狭いあぜ道などでの取り回しを優先すればホイールベースは短いほうが良く、こういった点から前輪の位置を元に戻したモデルを発売したように思われます。

 この10代目は息が長く、次の11代目が発売されたのは14年後の2013(平成25)年。小回りのきくショートホイールベースに統一されて、より安定した形で走行性能を向上させたほか、積載性・低燃費ともにクラストップを実現しました。

 以降、この11代目が今日まで10年以上続く現行モデルとなりますが、2018(平成30)年にはキャビンスペースを後方へ拡大させ、運転時の快適性を優先させたスーパーキャリイもラインナップしました。

 なお、キャリイは初代のスズライトキャリイの時代からバンタイプもラインナップしており、これらもまた進化を遂げてきました。1982(昭和57)年に発売された乗用グレードモデルのキャリイバンは「エブリイ」と名付けられ、後に独立モデルに。エブリイの乗用車はエブリイワゴン、商用車はエブリイの名に分けられ、一般ユーザー、プロユーザー双方に愛される軽自動車になりました。

 キャリイは1971(昭和46)年から2009(平成21)年までの38年間、登録車を含めた「トラックの社名別年間販売台数」ナンバーワンの座につき続けました。その販売台数のぶんだけ、キャリイがさまざまな現場で大いに活躍したというわけです。

 ここまでのキャリイの変遷を振り返ると、まずプロが認める実用性・走行性を最優先に高め続けた歴史であり、キャリイの進化がそのまま「軽トラックの進化」になっているようにも映ります。一般人は馴染みの浅い軽トラでも、プロの現場では絶大な機能性を発揮してきたキャリイ。その厚い信頼と支持はこれからも続くことでしょう。

【了】

【いま見ると“めちゃカッコいい!!”】歴代キャリイの変遷を写真で見る

Writer:

1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。

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