ベストセラー軍用機の“異端”が誕生へ 「世界の終わりの飛行機」と飛ぶ新型「人類滅亡機」に!?

ジェット機からターボプロップ機でグレード落ちの理由は?

 E-6Bがジェット機である707型機をベースにしているのに対して、E-130Jはターボプロップエンジンによるプロペラ駆動で、より小型のC-130Jがベースであり、機体サイズが縮小しています。いちおうE-130JのベースモデルはC-130Jの中でも胴体が4.57m延長されたストレッチモデルC-130J-30ですが、それでもE-6Bと比べると機内スペースは縮小しています。また、推進方式がジェットからターボプロップになったことで飛行速度なども低下しています。

 機体規模が小さくなったのは、E-130Jに与えられる任務がE-6Bよりも少なくなったことを反映している模様です。E-6Bでは戦略原子力潜水艦への通信中継だけでなく、戦時において空から戦争を指揮する空中指揮所としての役割もありました。この任務は、相手国の核攻撃によって政府中枢やその指揮機能が破壊されたときに、その機能を空中で補完するというもので、E-6Bにはその任務を遂行できるよう別の通信装置や長時間飛行能力が必要でした。

 しかし、E-130JはTACAMO任務に一本化されたことで、より小さいC-130ベースの機体でも対応できると判断したようです。実は、アメリカ海軍は1963年から1994年まで、TACAMO任務専用機としてC-130HをベースにしたEC-130Qという機体を運用しており、今回の機体更新は通信中継機としては原点回帰ともいえるかもしれません。

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アメリカ海軍のE-6B「マーキュリー」通信中継・空中指揮機。旅客機ベースで白い塗装のため軍用機らしからぬ外見が特徴(画像:アメリカ海軍)。

 老朽化と部品不足が問題となっているE-6Bに対し、E-130Jのベースとなったハーキュリーズ輸送機は現在も生産が続くベストセラー機であり、C-130とサポートや部品供給を共有できる部分があるため、運用の効率化と低コストができるメリットもあります。アメリカ海軍では2020年代後半にE-130Jの導入を進め、2030年代にはE-4Bから本機にTACAMO任務を移行することを目指しています。

 4発エンジンのE-6Bはクラシックな航空ファンにとって、大型機の代表的なスタイルであり、その退役を寂しがる人もいるかもしれません。しかし、旅客機と同様に効率化と時代の流れによって、その姿は時代と共に消えていくようです。

【了】

【まるで戦略司令部な機内も】これが新たな「人類滅亡機」E-130Jです(写真)

Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)

雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info

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